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守田英正「論理的な部分が少し欠けてしまっている」。明晰な分析…日本代表に必要なのは「立ち位置」の見直し?【W杯アジア最終予選】

text by 編集部 photo by Getty Images

守田英正
【写真:Getty Images】



 日本代表は今月12日、カタールワールドカップのアジア最終予選でオーストラリア代表と対戦する。

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 まさに背水の陣だ。7日に行われたサウジアラビア代表戦を0-1で落とし、アジア最終予選開幕から3試合で1勝2敗。ワールドカップ出場に向けて、これ以上の負けも引き分けも許されない状況で強豪オーストラリア代表との大一番を迎える。

 準備のために残された時間は少ないが、敗戦によって噴出した課題や反省点を1つでも多く消しておかなければならない。サウジアラビア戦に途中出場していたMF守田英正は、ベンチから見ていた感覚とピッチに立ったことによって得た体感と、両方を持ったうえで今の日本代表の改善すべき点を指摘する。

「まず『立ち位置』かなと思います。それだけじゃないんですけど、見ていなくてもここに人がいるような状況だとか、『ここに人がいてくれるから、こうなるよね』という、ちょっとした論理的な部分が、今は少し欠けてしまっているというか」

 これを守田なりの視点でもう少し噛み砕くと、次のような考え方になる。

「選手各々の特徴もあるので、その特徴を生かしてあげるようなポジショニングやサポートの仕方はある。例えばサイドの選手が(ライン側に張って)幅を取れていないとか、中に入りすぎていて、それによって空けたスペースを誰も有効に使えていないとか、そういうのはまだ少しあるかなと。それさえよくなれば、もっともっと厚みのある攻撃とか、(ボールを)失った後もいい距離で守備ができると思います」

 それぞれの選手たちの「立ち位置」は、守田曰くコミュニケーションによって「すぐに改善できる部分」だという。ベースとなるシステムから、相手の出方によって発生するスペースを想定した派生パターンをいくつか作っておくべきなのは間違いないだろう。

 ピッチで戦う選手たちが自分の役割や「立ち位置」を間違わないことは、攻守のバランスや安定につながる。サウジアラビア戦では複数の選手たちから、ボールを奪ったあとに「急ぎすぎた」という点が課題として挙げられていた。しかし、正しい立ち位置を共有して選手同士の距離感を適切に保てれば、攻撃のテンポを能動的にコントロールすることもより容易になる。

 守田は語る。

「守備の追い方が悪くて間延びした状況なのに、結局(ボールを)奪ってしまったときに(選手同士の)距離感悪くて(パスを)つなげずに、もう一度ロストすることも考えられるし、ビルドアップで攻撃権が自分たちにあるなかで、立ち位置や人の配置が悪いという、この2つのどちらも状況によってはありえるかなと思います。

サウジアラビア戦で言うと、前回(2019年アジアカップ)も(ボールを)握られてしまったので、ある程度(ボール)保持をされても仕方ないという考え方で試合を始めていったのは1つあると思うんですけど、だとしたらもっと割り切ってブロックを敷くとか、(ボールを奪ってから前に)出ていくならチーム全体で押し上げて前に推進力を持って奪いにいかなければいけない。

もう少し守備のところも(やり方を)明確にできれば、距離感がいいので、奪ったあとのカウンターも、落ち着かせることもできたんじゃないかなと思います。あくまでもボールを握るところにしっかりフォーカスし、そこでまず負けないという自信を持ってやることを考えると、配置(立ち位置)がもう少しオーガナイズされていてもいいというか、突き詰めていかなければいけないというのはあると思います」

 オーストラリア戦で最も重要になるポイントは「先に失点しないこと」。そのうえで焦らず、自分たちから仕掛けて試合をコントロールしていくこと。これが守田が見据える大一番での勝ち筋だ。決して相手のテンポに呑まれてはならない。それはオマーン戦やサウジアラビア戦の反省からも明らかなのだから。

(取材・文:舩木渉)

【了】

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