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セリエA 3年前

ミランの勢いが止まらない! イブラヒモビッチ先発による“不安”を露呈も、4得点勝利できた理由は?【分析コラム】

シリーズ:分析コラム text by 小澤祐作 photo by Getty Images

イブラ先発による課題



「我々は苦しんだ。一人多い状況で2-0とリードし、試合が終わったと思ってしまったのが間違いだった」

 試合後、ステファノ・ピオーリ監督は『スカイスポーツ・イタリア』にそう語った。2-0かつ数的優位な状況において、選手たちのメンタル面に問題があったことは確かに否めない。それも2点を追いつかれた原因の一つだろう。

 しかし、もっと大きな理由がある。

 今季のミランが強みとしているのは前線からのプレス強度にあるとみていい。第4節ラツィオ戦や第7節アタランタ戦はそのストロングポイントを大いに発揮してゲームを支配し、最終的に勝ち点3獲得に繋げていた。

 しかし、今回のボローニャ戦ではなかなかプレスで相手を上回ることができなかった。その理由は、先発したイブラヒモビッチが影響している。

 今月40歳になったイブラヒモビッチは、パスコースを切るなど全く守備をしないわけではないが、その強度はやはり高くない。そのため、彼がワントップにいる場合、ボランチやセンターバックがいつも以上に高い位置で守備をする必要が少なからず出てくるのだ。

 そしてこのボローニャ戦では、ボランチが前に出るも相手を捕まえきれず、自陣深くへ押し込まれる場面が散見。28分にはイスマエル・ベナセルが飛び出したところをあっさりと外され、最後はシュートに持ち込まれている。

 1失点目はコーナーキックからのイブラヒモビッチによるオウンゴールだったが、そのセットプレーを与えた原因は、ティエムエ・バカヨコが前掛かりになったことで空いたCBとのギャップを突かれ、サイドに展開されたことである。

 52分には、全体で前からプレッシャーを与えるも奪いきれず、CBフィカヨ・トモリまでもが高い位置へつり出される。それによって空いたスペースへロベルト・ソリアーノが走り込むが、これに前へ飛び出していたバカヨコが付いて行けず、フリーに。そして最後はソリアーノに精度の高いスルーパスを流し込まれたことで、ムサ・バロウのゴールに繋げられてしまった。

 アンテ・レビッチ先発の場合は、彼が前線から精力的に守備をしてくれるので、必然的に全体としてより的確な位置で相手を喰らうことができていた。しかし、イブラヒモビッチ先発の場合は、まだそのあたりがしっかりと整備できていないということが、今回のボローニャ戦では改めて明らかになったと言える。もちろんイブラヒモビッチの絶大な攻撃力は捨て難いのだが、チームのストロングポイントを成熟させる意味でも、今後はレビッチを優先的に使い、40歳のベテランFWをスーパーサブとして起用する頻度はより増えていくかもしれない。

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