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セリエA 3年前

眠気を誘う…ユベントス対インテルでは何があった? 最後の最後で幸運を引き寄せた理由とは【分析コラム】

シリーズ:分析コラム text by 本田千尋 photo by Getty Images

敗北を招かないことこそが…



 アッレグリ監督が「(マルセロ・)ブロゾビッチにプレッシャーを掛けるために、私は(デヤン・)クルゼフスキのような選手を必要とした」とコメントを残したように、中盤が逆三角形で両ウイングバックが上下する[3-5-2]のインテルに対して、ユベントスは守備を徹底して試合に臨んだ。

 このところ先発が続いていたアタッカーのフェデリコ・キエーザはベンチスタートとなり、クルゼフスキが5試合ぶりに先発出場。インテルがボールを保持している時、このスウェーデン代表MFはアンカーのブロゾビッチをマーク。そして右サイドで先発したフアン・クアドラードが、1列降りて対面するイバン・ペリシッチをマーク。このようにユベントスは、上位のインテルに対して[5-3-1-1]のような陣形でブロックを形成した。

 クリスティアーノ・ロナウドが抜けて再建の途上にあることを踏まえれば、敵地サン・シーロでのビッグマッチにアッレグリ監督が守備的なマインドで臨んだとしても、何ら不思議なことではない。そもそもイタリアという土地に、“守備的=悪”という概念は希薄である。根本的に攻撃的なアッレグリという姿が想像しづらい。そして、惨敗はもちろん敗北を招かないことこそが、再建途上の土台を強固にして「一歩前進」できると考えるのは、ユベントスでなくとも変革期のチームを預かる指揮官に共通するマインドと言えるだろう。

 たしかに、17分にチャルハノールにミドルを打たれて先制されはしたが、この時はフェデリコ・ベルナルデスキが治療のためピッチの外に出ており、ユベントスは1人少ない状態だった。言わば“事故”のような形での失点で、守備組織が崩されたわけではなかった。

 もちろんボールを奪った後の攻撃に迫力と精度はなかったが、かといってインテルの攻撃陣に決定機を与えることもない。左翼のペリシッチを抑えたのはもちろん、前線のラウタロ・マルティネスとジェコに効果的なボールを供給させず、インテルの2トップに仕事をさせなかった。

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