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バルセロナの暗黒期はもう始まっているのかもしれない。主導権を握れない中盤、錆びついたFW、不運だったのは…【分析コラム】

シリーズ:分析コラム text by 本田千尋 photo by Getty Images

主導権を握れない中盤と錆びついたFW



 すると30分、中盤の底でバックパスを受けたセルヒオ・ブスケッツが、その瞬間に後方からボールを奪われる。バルセロナはショートカウンターを喰らい、ラダメル・ファルカオに決められて失点。“コロンビアの虎”の決定力は錆びついていなかった。

 後半に入っても、ラージョのハイ・テンポに引きずられ、バルセロナは試合の主導権を握れない。この試合で先発した中盤の3枚は、ブスケッツ、フィリッペ・コウチーニョ、ニコ・ゴンザレスの3選手だったが、ブスケッツに往年の安定感がなかった。コウチーニョはそもそもボールキープからリズムを生み出すタイプではなく、ニコはどうしても経験が浅い。よって敵の強烈なプレッシングを辛抱強く交わしてパスを繋ぎ、主導権を取り戻して試合のペースを握ることができなかった。

 前線も決定力に欠けた。プレッシャーの中でも、36分にメンフィス・デパイがキープしてから左サイドをえぐって中央に折り返したが、クラシコに続いてデストは決定機をモノにできず。デパイも、71分に自ら仕掛けて獲得したPKのチャンスを失敗してしまう。

 そして0-1のまま時計の針が進んだ84分、ニコに代わってルーク・デ・ヨングが投入されたが、不発。アディショナルタイムにはピケも前線に上がったが、バルセロナは引いて固めるラージョを崩すことは出来なかった。ファルカオとは対照的に、怪我から復帰して間もないセルヒオ・アグエロの動きは、まだ錆びついたままだった。

こうして“昇格組”のバジェカーノに金星を献上した試合の後で――、クーマン監督は解任された。

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