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リバプールが目指す「無慈悲な守備」とは? 一度地獄を見たクロップ監督が追い求めるのは…【分析コラム】

シリーズ:分析コラム text by 本田千尋 photo by Getty Images

大量リードでも緩めないリバプール



 そして何よりも“リバプールらしさ”に溢れていたのは、スコアを4-0にしてからの、試合を終えるまでの時間帯だった。大量得点でリードを広げたにもかかわらず、チームとしての守備の強度は全く落ちなかった。

 もちろん、中盤にフレッシュな選手が投入されていった側面はある。59分にチアゴに代わってアレックス・オックスレイド=チェンバレン、67分にジョーダン・ヘンダーソンに代わってジェームズ・ミルナーが入った。

 しかし、61分にはファビーニョがボックスの中まで戻って敵のシュートを連続で2度ブロックしている。68分には、ファン・ダイクのクリアボールを拾おうとするヴァレンティノ・リヴラメントに対して、サラーが全力でプレスを掛けに行った。まるでスコアが依然として0-0のままのように、リバプールの選手たちは高い強度と集中で守備に走った。

 だからこそ、クロップ監督は「誰もがやらなくてはならないことを分かっている」と言ったのだろう。4点のリードを広げながら兜の尾を締め続けるリバプールの選手たちの姿が、サウサンプトン戦のピッチの上にはあった。

 クロップ監督は、地獄を見た昨季と違って、今季のチームには「安定性が明らかにある」と言う。熱血漢の指揮官は、イブラヒマ・コナテが加わってCB陣に厚みが出ただけでなく、ファビーニョをアンカー起用に専念させることができることが大きいと考えているようだ。

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