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三笘薫のベルギー挑戦を追って(前編)。存在感は圧倒的、しかし「いま、充実していますか?」の問いには…【コラム】

text by 舩木渉 photo by Getty Images, Wataru Funaki

確立されつつあった起用法



 個人として結果を残しても、三笘の自己評価は厳しかった。

「チームとして毎試合いいメンタルで戦えていますし、しっかりと準備して戦えているから結果も出ていると思います。ただ、僕自身はまだまだ出場時間が短くて、もっと(時間が)欲しいというのはありますし、自分のプレーでチームを勝たせないといけない。そういった面ではまだまだ課題があると思います」

 スラン戦のハットトリックをきっかけに定位置を奪取すると、そこからリーグ戦3試合連続で先発出場の機会を得た。しかし、ゴールはなく、日本代表活動から戻って迎えたオーステンデ戦、ルーヴァン戦と2試合連続でベンチスタートに。またシーズン序盤と同じ立ち位置に戻ってしまった。

 ただ、ゴールが欲しい時の切り札としての起用法が確立されつつある印象を受けた。三笘自身も「特に負けている状況だったり、前に行かないといけない状況、ゴールを取らないといけない状況で出ることが多い」と、チーム内における立場を自覚しているようだった。

 ユニオンにとってみれば、左ウィングバックを入れ替えるだけでチームの戦い方や試合の流れを変えられるのは大きなアドバンテージになる。前線には絶対的な得点源が2人もいながら、全体的に選手層が薄くメンバーを固定しがちになる中で、三笘はフェリス・マッズ監督にとっても心強い戦術オプションなのである。

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