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アーセナルは巧妙だった。上位対決を制して4位浮上、冨安健洋の働きぶりとは…【分析コラム】

シリーズ:分析コラム text by 編集部 photo by Getty Images

アーセナルの巧みな戦術



 4-2-3-1の布陣を組んだウエストハムは、守備の際はフォーメーションを4-4-2に変形。1トップのマイケル・アントニオとトップ下のパブロ・フォルナルスが横並びとなり、自陣ではチーム全体で引いた守りを行っていた。

 センターバックには前線の2人が向かい合う相手に対してプレス、サイドの選手に対してはサイドバックが対応しつつ、ペナルティーエリア付近ではサイドハーフとボランチの1枚も加わり、数的優位を作っていた。敵陣では1対1で守備しつつ、自陣では引いた守りで数的優位を作る。チーム全体として統率が取れていたこの守備を崩すのは容易ではなかったが、アーセナルは巧みな戦術でこの守備に穴を突いた。

 その穴とは、ダブルボランチの間に生まれるスペースだ。

 アーセナルはウエストハム同様、4-2-3-1の布陣を組んでいたが、ビルドアップの際はフォーメーションを変えていた。中央にトーマス・パーティーを残し、グラニト・ジャカは左サイドバックのポジションへ。キーラン・ティアニーは高い位置を取り、ラカゼットが下りてくることで4-3-3となっていた。

 そのため、ボランチ2枚の相手に対してアーセナルは中盤で数的優位となった。さらに、マルティン・ウーデゴールやマルティネッリがポジションを下げたり、サイドに寄る動きでボランチ1枚の注意を引き付けることで、ダブルボランチの間にスペースが生まれ、ラカゼットがフリーでボール受けることが出来ていた。

 先制点の場面がまさにそれだ。ガブリエウがボールを持った際にマルティネッリがポジションを落とし、トマーシュ・ソウチェクを釣りだしたことでボランチ間でラカゼットがフリーとなった。そこを見逃さなかったガブリエウが鋭い縦パスを入れると、ラカゼットからDFの裏に走ったマルティネッリにパスが通り、先制点が生まれた。

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