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アーセナル、急造SBが冨安健洋の穴を埋めた。緊急事態で得た大きな収穫とは…【分析コラム】

シリーズ:分析コラム text by 安洋一郎 photo by Getty Images

圧倒した中で際立っていたのは…



 ノリッジを圧倒した中で際立っていたのは、平均年齢21歳の若き2列目の選手たちだ。6分に決まった先制点はまさにこの選手たちの連係から生まれた。

 左サイドでボールを受けたガブリエウ・マルティネッリから中央のマルティン・ウーデゴール、右サイドのブカヨ・サカへとパスが繋がり、サカが相手DF2人の股を抜く見事なシュートを決めてスコアを動かした。

 あらゆるポジションでプレー可能なこともあり、昨季までの起用法は便利屋に近かったとも言えるサカだが、今季途中からは最も適正が高いとされる右WGで固定されている。67分にもカットインから今季5点目となるゴールを決めており、シーズン折り返し時点でプレミアリーグでは早くも昨季の得点数に並んだ。

 サカの先制点をアシストしたウーデゴールは、2点目のキーラン・ティアニーのゴールもアシスト。マルティネッリは得点関与こそなかったが、先制点の起点ともなり、両チームトップの3回のドリブル成功、地上戦勝利数7回と左サイドから多くのチャンスを作った。(データは『Sofa Score』を参照)

 また、直近の試合はマルティネッリが絶好調ということもあり、先発から外れているエミール・スミス=ロウだが、今節も途中出場からゴールを決めた。プレミアリーグでは4試合連続ゴールとなり、昨季の2ゴールを大幅に上回る今季8点目となるゴールを早くも決めている。

 前主将のピエール=エメリク・オーバメヤン、現行契約が今季終了までとなっているアレクサンドル・ラカゼット、エディ・エンケティア、3名のストライカーの去就が不透明の中、彼ら2列目の選手の躍動はチームにとってこれ以上ない好材料だろう。

 一方で絶対的なストライカーがいなければ勝てない試合が今後必ず訪れる。直近で好調なラカゼットとの契約延長交渉の可能性や他クラブからの引き抜きなど、今後のフロントの立ち回りにも注目したい。

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