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久保建英 2年前

久保建英は明らかに“悪かった”。攻守において薄れていた存在感、それも必然の理由とは?【分析コラム】

シリーズ:分析コラム text by 編集部 photo by Getty Images

コンディションは明らかに“悪かった”



 53分、中央でレバンテにボールを奪われカウンターを浴びると、久保は左サイドを突破しようとする選手へ懸命に付いていった。しかし、最後に足を出したところで軽くかわされ走りを止めてしまい、最後はそのままボックス内へ侵入された。味方のカバーが間に合いどうにか失点は免れたが、危ないシーンだった。

 その直後シーンで、久保は味方が右サイドで攻撃を組み立てている際、足をピタリと止め腰に手を置いている。早い時間で、体力はかなり消耗していた。

 ATの失点は、久保のボールロストから始まっている。ロベール・ピエルに身体を入れられると、そのまますぐに諦めてしまった。試合終盤で体力が限界なのは重々承知しているが、マジョルカは1点が必要な状況。いずれにせよカウンターを止めることは難しかったかもしれないが、身体を投げ出してでもボールを奪い返すという姿勢がまったく見られなかったのは少し残念であった。

 しかし、久保が攻守で影を潜めたのは、必然の結果と言えるかもしれない。

 スペイン紙『マルカ』などによれば、試合後ルイス・ガルシア監督は「久保がどうやって試合全てをプレーしたのか分からない。彼は今週、ほとんどトレーニングをしていない」と話していた。バルセロナ戦とエイバル戦を欠場した理由については明らかとなっておらず、現地では新型コロナウイルスに感染したと報じられているが、いずれにせよコンディションが100%ではない中でレバンテ戦に臨んでいたことは確か。当然、本人の中でも難しさはあっただろう。

 そういった意味で考えれば、この試合でフル出場できたこと自体は久保にとってポジティブなことと言っていい。パフォーマンスはさすがに厳しかったが、様々なものの感覚を取り返すことは少なからずできたはずである。

 マジョルカの次節は現地20日。久保がベストな状態へと戻るには十分な間隔がある。前半戦は怪我があり、後半戦もいきなり欠場続きとなかなか波に乗ることができていないレフティーだが、ここから挽回してほしいところだ。

(文:小澤祐作)


【了】

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