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日本代表、中国戦最大の収穫とは? 森保監督も絶賛…緊急事態が転じてチーム力を底上げ【W杯アジア最終予選】

text by 編集部 photo by Getty Images

板倉滉 谷口彰悟
【写真:Getty Images】



 カタールワールドカップのアジア最終予選が27日に行われ、日本代表は中国代表に2-0で勝利を収めた。

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 序盤から主導権を握った日本はFW大迫勇也のPKとMF伊東純也のヘディングシュートで2点を奪い、中国に完勝した。DF吉田麻也とDF冨安健洋という重要戦力を欠いた中でも安定したパフォーマンスで勝ち点3をつかみ取ることができた。

 この試合で最大の収穫は、やはりセンターバック陣のパフォーマンスだろう。先に述べた2人の不在を補うべく先発出場したDF板倉滉とDF谷口彰悟は、卓越したビルドアップ能力で後方からゲームを組み立てて抜群の存在感を発揮した。

 相手の攻撃機会が少なくディフェンス面で力を試されるような状況はほとんどなかったものの、ともにアジア最終予選初出場とは思えない落ち着きで吉田と冨安の不在を感じさせないような働きぶり。チームとしても2月1日のサウジアラビア代表戦に向けて大きな自信を得ることができたはずだ。

 日本代表を率いる森保一監督も「お互いのイメージが合っているなというのを、試合の中でも多く見させてもらった」と板倉と谷口のセンターバックコンビに賛辞を送った。そして、かつて川崎フロンターレでもチームメイト同士だった2人について「いまできるベストなことをお互いの関係で表現してくれたと思っています」とも語る。

「2人とも試合の入りから落ち着いてプレーしてくれていましたし、ビルドアップのところでも相手を止めるディフェンスのところでもチームをコントロールしながら、かつ個々の局面で相手を上回っていく上手さと強さを見せてくれたと思います。2人とも最終予選初出場とはいえ、非常に素晴らしい経験をしてきていますので、普段やっていることに自信を持って、今日の試合に臨んでくれていたと思います」

 やはり際立ったのはビルドアップにおける貢献度の高さだ。板倉と谷口はボールを左右にさばくだけでなく、前線の状況を見て一気に局面を進めるような縦パスを出せ、さらに自らボールを持って前に運ぶこともできる。お互いを補完しつつ、味方からパスを引き出すポジショニングにも長けていた。

 こうしたゲームメイクに関連する能力や連係の質は、吉田と冨安のコンビよりも高く、彼らならではの魅力と言える。アジア最終予選という厳しい戦いの場でも、これまで培ってきたスキルが十分に価値のあるものだと証明された。そして、これは日本代表の底上げにも寄与するはずだ。

 中国戦でチャンスを得た谷口は「今日、1試合まず経験できて、きちんと戦えたことは自分の中で大きい」と語る。吉田や冨安の代役として出場することに「プレッシャーはもちろんあった」が、「準備している選手たちはみんながその座を狙っていますし、チャンスめがけて今までいいトレーニングをしてきた」自信が高いレベルで安定したパフォーマンスにつながった。

「今日は僕と(板倉)滉がチャンスをもらいましたけど、出た選手がきちんとしたパフォーマンスを発揮するのがやっぱり代表だと。普段出ている選手たちがいない中でも、きちんと仕事するのはすごく大事だし、そうやってまた新たな競争が生まれていけばいいと思うし、自分もどんどん食い込んでいきたい思いが強い。ただ、順番としては代表チームが勝つことを(一番から)外したくないので、サウジアラビア戦でもそこ(勝利)に向けてまたいい準備をしていきたいですね」

 谷口の視線はすでに次の試合に向いていた。中国戦を経験したことで、慣れや安心感も出てくるだろう。より“試される”シチュエーションが増えると予想されるサウジアラビア戦でも実力を証明し、センターバックの競争に新たな風を吹かせられるか。板倉や谷口の台頭は日本代表をさらに成長させるきっかけになるはずだ。

(取材・文:舩木渉)

【了】

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