遠藤航
【写真:Getty Images】



 カタールワールドカップのアジア最終予選が27日に行われ、サッカー日本代表は中国代表に2-0で勝利を収めた。

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 この試合で以前に比べて大きな改善が見られた要素の1つがセットプレーだった。フリーキックやコーナーキックのみならず、スローインに至るまで効果的なプレーが増え、選手たちの意識も大幅に変化しているように見て取れた。

 森保一監督は中国戦後の記者会見で「今回だけ準備をしていたのではなく、実は毎回やっています」と多くを語らなかったが、ほとんど得点の可能性が感じられなかった昨年までとは打って変わって得点に結びつくシーンもあり、改善されているのは明らかだった。

 東京五輪でもセットプレーで失点を重ねて、U-24日本代表がベスト4で敗退する要因の1つになった。そのため日本サッカー協会(JFA)もセットプレーを日本代表全カテゴリにおける課題として認識しており、今年から日本代表全カテゴリをカバーするセットプレー専門のテクニカルスタッフを雇用することに。昨年までJ2の栃木SCでヘッドコーチを務めていた菅原大介氏が大役を担い、主に分析や資料作成などで各代表チームのセットプレー改善をサポートしている。

 新たな取り組みの成果はさっそくピッチ上のパフォーマンスに現れた。中国戦ではスローインの流れからDF中山雄太がMF伊東純也のゴールをアシスト。開始6分にもDF酒井宏樹のスローインに伊東が抜け出す形でチャンスにつなげるなど、随所に意識の高まりが感じられた。

 コーナーキックにも変化があった。20分に伊東がグラウンダーでペナルティエリア内の南野のシュートにつなげた場面は、MF遠藤航が相手ディフェンスを体でブロックするなどして背番号10をフリーにするところまでデザインされた形。これは21日まで行われていた国内組による日本代表合宿でも練習されていたものだった。

 遠藤は「あれは完全に練習でやっていた形だったので、同じような形になって、本番でも同じように流れてしまったので、ちょっと悔やまれる」と語っていたが、練習の成果は十分に感じられたことだろう。

 他にも国内組合宿から練習していたトリッキーな動きを組み合わせたコーナーキックが何度か見られ、ゴール前で相手よりも先にボールに触れる確率も上がった。遠藤も「おそらく分析はかなりされていると思うので、僕らに対して落とし込む時はどちらかというとしっかりまとめられた状態な分、そこまでの経緯でどれだけの分析があったのか見えないですけど、少なからず影響はあると思っています」と、早くも菅原氏の分析による成果に手応えをつかんでいる。

「(セットプレーに関して)練習やミーティングで落とし込む量は前より少し増えた印象があって。チームとしてセットプレーで(ゴールを)取れるか取れないかはすごく大きくて、なかなか取れない中で、工夫をしようとチームとしてすごく意識していたので、今回も前日や前々日にトレーニングはやっていました」

 遠藤が言うように、早くも改革の成果が見え始めている。ただ、小技を絡めたセットプレーばかりにこだわるのには注意が必要だ。意識を高めていったとしても、策に溺れて本来の目的を見失うことがあってはならない。

「セットプレーのオプションは、うまくいけば期待感が出て、うまくハマればいいオプションとして考えられますけど、意外とそこにこだわりすぎると、今度は逆にシンプルに上げた方がいいんじゃないかという話になる。

そこは相手に高さがあるのかどうか、シンプルに上げた方が分(ぶ)があるのかを見ながらだとは思いますけど、いろいろなオプションをやってくるチームになれれば、警戒する分、相手も嫌だと思うので、そこはポジティブに考えています」

 スローインに関しても昨年11月にDF冨安健洋が「現代サッカーではスローインもセットプレーと捉えられていますし、アーセナルでも練習しています」と明かしていた通り、チャンスにつながる重要なリスタートのタイミングとしての認識が世界的に広まりつつある。

 セットプレー担当コーチを雇用することも珍しくなくなってきており、日本代表もその潮流に乗った形だ。遠藤は「チームとしてのパターンは増えたと思います。それをうまく対戦相手によって変えていくみたいな感じで、オプションは増えていいと思います」とセットプレーの重要性を語っていたが、これからJFAの改革はどのような結果を生み出すだろうか。

 流れに関係なくゴールを奪えるチャンスであり、それによって試合の流れすらも一変させられる可能性を秘めたセットプレーの進歩は、実力で上回る相手とも戦って勝たねばならないワールドカップ本大会に向けても重要な意味を持ってくるはずだ。

(取材・文:舩木渉)

【了】

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