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リバプールが上回った「質」とは? 拮抗した試合で生まれたインテルとの差【欧州CL分析コラム】

シリーズ:分析コラム text by 安洋一郎 photo by Getty Images

交代カードに見えた大きな差



 実力が非常に拮抗していたインテルとリバプールだが、一番大きな差を感じたのが交代カードを切ったタイミングと途中から試合に出てくる選手のタイプや質の差だ。

 インテルが投入したのがアレクシス・サンチェス(70分)、ロベルト・ガリアルディーニ(87分)、マッテオ・ダルミアン(87分)、アンドレア・ラノッキア(87分)、フェデリコ・ディマルコ(90分)の5名。

 対するリバプールはロベルト・フィルミーノ(46分)、ジョーダン・ヘンダーソン(59分)、ルイス・ディアス(59分)、ナビ・ケイタ(59分)、ジェームズ・ミルナー(86分)の5名を投入している。

 後半頭のフィルミーノの投入はジョタのケガの影響だったにせよ、59分という早い時間での3枚替えを行ったリバプールと87分までに1枚の交代カードしか切れなかったインテルとでは、ベンチメンバーに明確な差があった。リバプールの交代カードは、インテルペースだった後半の嫌な流れを変えるには十分すぎるものだった。

 インテルはサンチェスという攻撃的な選手を70分に投入したが、あとの4選手は本来2点ビハインドで投入をしたい選手ではないだろう。リバプールとは対称的に、インテルは流れを変えられる選手がベンチに十分に揃っていなかった。

 インザーギ監督のゲームプランとしては先発起用した選手たちでゴールを奪い、リードをしている段階で彼らを投入して逃げ切りを図りたかったところだろうが、ケガ人や出場停止の選手が1人もいないベストメンバーが揃ったリバプールの方が一枚上手だった。

 2ndレグが行われる3月8日までにインテルは4試合、リバプールは5試合とどちらも過密日程が予想されている。観客の入った”要塞”アンフィールドで大逆転劇が起こることは想像しにくいが、何が起こるのかがわからないのがフットボール。約3週間後に行われる2ndレグからも目が離せない。

(文:安洋一郎)

【了】

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