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前田大然も旗手怜央も停滞。今季初の2試合連続無得点、セルティックに何が起きているのか?【分析コラム】

text by 舩木渉 photo by Getty Images

前田大然と旗手怜央も沈黙

前田大然
【写真:Getty Images】



 主導権を握りながらゴールまで到達できない試合はだいたい攻撃が単調になっている。それもマリノス時代と変わらない印象だ。今回のハイバーニアン戦でも、13本のシュートを放ったセルティックの攻撃はサイドを突破してのクロスに頼りがちで、中央をコンビネーションで崩すような形はほとんど見られなかった。

「我々は常にあのような(ボールを握る)戦いをし、それは我々が望んでいることでもある。我々は常に攻撃する側であるように努めている。ただ、相手があれほど自陣深くにこもっていると必ずしも簡単にはいかない」

 この“ボス”の発言も、Jリーグの試合後記者会見で何度か聞いた記憶がある。ギリギリまで引きつけて、ペナルティエリア内に多くの選手を立たせて攻撃を跳ね返すのは、力で劣るの戦い方における定石の1つ。ハイバーニアンは過去3度の対戦から、セルティックを封じるために最善の道を選んだということだ。

 もちろん日本人選手たちも特別に警戒されていた。1月中旬の対戦時にハイバーニアンから得点していたFW前田大然は、センターバック3人のうち2人に近い距離で監視され自由を奪われた。

 旗手にも前を向いてプレーさせてはならない、という強い意思を感じた。華々しい欧州デビューを飾らせてしまった前回対戦時の失敗を繰り返さない。ハイバーニアンの選手たちの気合いは、映像からも十分に感じ取れた。

 試合後のショーン・マロニー監督のコメントを聞くと、後半に守備的な傾向が強まったのは「疲れ」と「交代要員の不足」が要因でもあったという。しかし、「私は選手たちを信用していた」と強調し、スコアレスドローに持ち込んだチームを称えた。

「本当に嬉しい。やられたくないというリアルな欲求を示したパフォーマンスだったと思う。選手たちはクラブのために本当によく戦ってくれたので、彼らのことを誇りに思っている。戦いぶりには情熱が感じられ、それはファンのみなさんが望んでいるものでもある。もちろん本来は違う戦い方をしたいところだが、今日のパフォーマンスや試合に臨む姿勢を、今後も全ての試合で見せてもらいたい」

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