久保建英が不調だったというよりは…
さて、前節のバレンシア戦でキレキレのパフォーマンスを披露し称賛を浴びた久保建英は、この日も右サイドハーフで先発。当然のことながら、前回の試合と同じような、あるいはそれ以上の活躍を期待された。
先述の通りマジョルカは試合への入りがよく、久保も立ち上がりからかなりボールに絡んだ。事実、データサイト『Who Scored』によると、開始10分の時点で久保のタッチ数は攻撃陣で最多となっていた。
しかし、ソシエダが守り慣れたこともあって、久保の存在感は時間の経過と共に薄れていった。ドリブルのキレなどが決してなかったわけではないが、4-4-2のコンパクトなブロックを敷くソシエダ守備陣は複数人で対応してくる。かなり際どいタックルを受けても、この日のマリオ・メレーロ・ロペス主審はなかなか笛を吹かず、久保にとってはフラストレーションの溜まる展開が続いてしまった。
久保は55分に決定機を迎えた。相手のクリアボールが、ペナルティーエリア手前中央に位置していた自身の元に来たのである。しかし、左足で放ったボレーシュートは枠をとらえきれず。結局、バレンシア戦のようなインパクトを残せぬまま、70分にイ・ガンインとの交代を命じられている。
もちろん苦しんだのは久保だけではなかった。最前線のターゲットマンであるヴェダト・ムリキは完全に抑えられ、アマト・エンディアイエはボールロスト連発。ダニ・ロドリゲスはシュートがわずか1本に留まっている。
そのため、久保個人が不調だったというよりは、ソシエダの守備陣が一枚上手だったと捉えた方がよいだろう。試合後にイマノル・アルグアシル監督が「我々が良いマジョルカを見なかったのは、守備の面で獣のような仕事をしたからだ」と話した通り、アウェイチームのディフェンスはかなり強固だった。