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久保建英 2年前

久保建英はなぜゴール数が伸びない? ダビド・シルバが見せた理想の形、強固なディフェンスを崩すには…【分析コラム】

シリーズ:分析コラム text by 小澤祐作 photo by Getty Images

久保建英の理想はD・シルバのような…



 もちろんソシエダは攻撃面でも高いクオリティーを示していた。

 とくに圧巻だったのは先制点の場面だ。スペインサッカー界のレジェンドと呼ぶべきD・シルバが中へドリブルしメリーノに預けると、そのままボックス内へ侵入。メリーノはそこにダイレクトパスを通し、最後は背番号21が落ち着いてゴールネットを揺らしている。

 D・シルバはドリブルした時点で入り込めるスペースがあることを分かっていたのだろう。ボールを預けてから一瞬で、スピードを落とすことなく直線的にボックス内へランニングしている。その動きを見逃さず、正確なパスを通したメリーノも見事で、まさにワールドクラスの崩しだった。

 爆発的なスピードはなく、2、3人を振り切れるタイプではない久保にとっては、この先制ゴールこそが、まさに理想的な形と言えるだろう。事実、左利きという共通点を持つD・シルバのように中へ切り込み、味方を使ってからボックス内へ入り込む動きは、マジョルカでも多く見られている。

 しかし、マジョルカではメリーノのような“リターン”に期待できない。基本的に久保が出す側で、他の選手が使われる側だからだ。そのため、久保がボックス内でシュートを放つことができる機会そのものが自然と少なくなる。ソシエダ戦でも両チーム最多4本のシュートを放ったが、すべてペナルティーエリア外からのものだった。もちろん単純な決定力の問題もあるが、これもゴール数が伸びない原因になっていることは否めないだろう。

 それでも、試合に出ている以上は結果を出さなければならない。次節セルタ戦はすぐにやって来るが、気持ちを切り替えてハイパフォーマンスを披露してほしいところだ。

(文:小澤祐作)


【了】

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