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あわや大惨事…。レアル・マドリードはなぜ大苦戦したのか? チェルシーに狙われた穴とは…【欧州CL分析コラム】

シリーズ:分析コラム text by 編集部 photo by Getty Images

レアルが狙われた穴



 前述したようにレアルは1stレグ同様の戦術でこの試合に臨んでいた。敵地では相手の攻撃を抑えられていたのに、なぜここまで守備が崩壊してしまったのか…。

 この試合では、累積警告によりエデル・ミリトンが出場停止。同選手に代わり、ナチョ・フェルナンデスが先発出場していた。大きな変更ではないように見えるが、チェルシーはこの”穴”を見逃さなかった。

 CBを務めたナチョとダビド・アラバは積極的にタックルやインターセプトを狙いに行く。これ自体が悪いわけではない。しかし、この試合では広範囲をカバーしていたミリトンがいない。そのため、ボールを奪いに出た穴を埋まられず、空いたスペースを狙われてしまっていた。

 15分の先制点を許した場面では、バイタルエリアでボールを受けたルーベン・ロフタス=チークにナチョとアラバが2人同時に釣りだされてしまった。そのため、カバーできる選手はおらず、メイソン・マウントに抜け出されてゴールを決められている。

 さらに75分の場面では、バイタルエリアまで下がったマルコス・アロンソにナチョが釣りだされると、空いたスペースをヴェルナーに突かれた。カゼミロとアラバが遅れてカバーに入ったがかわされ、3点目を決められてしまっている。

 ミリトンがいれば失点がなかったとは言い切れない。だが、同選手の存在が大きかったことは確かだ。この”穴”を突かれたレアルは、準々決勝敗退となっていてもおかしくなかった。

 今後もミリトンがいない試合が訪れる可能性はある。同選手がいない場合の策がなければ、この先も厳しい戦いを強いられることになりそうだ。

(文:阿部勝教)

【了】

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