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なぜ…。バルセロナ敗退の原因は? 自慢の武器が沈黙。シャビ監督をハメたフランクフルトの策とは…【EL分析コラム】

シリーズ:分析コラム text by 小澤祐作 photo by Getty Images

パフォーマンスレベルが低かったのは?



 そんなフランクフルト戦において、とくに厳しいパフォーマンスに終わった選手がいた。それが、オスカル・ミンゲサだ。

 ミンゲサは右サイドバックとして先発起用された。ベンチにはセルジーニョ・デストがいたが、負傷明けだったため無理はさせたくない。また、フランクフルトのカウンター対策ということもあり、シャビ監督はより守備面で貢献できそうな背番号22を右に配置したのだろう。

 しかし、結果論にはなるが、この選択は失敗だったと言わざるを得ない。

 とくに物足りなさを残したのがビルドアップ面だ。もともと足元にそれほど定評のないミンゲサは、無難なパスに終始。出すと見せかけて出さないといったアクションが出来ないため、相手に守りやすさを与える。また、ボールを受ける際の身体の向きも正確とは言えず、一列前にいるデンベレに良いタイミングで出せない場面も散見。12分には、外を向きもせずロナルド・アラウホへボールを戻したことで、かなりデンベレから不満を露わにされていた。

 試合後のヒートマップをご覧いただければわかるが、この日のミンゲサはほぼ同じ場所でプレーしている。これがシャビ監督の指示だったかどうかは定かではないが、いずれにしてもこの影響をデンベレがモロに受けてしまったのが痛かった。

 基本マークに付く鎌田にとって、常に低い位置で無難にボールを回すミンゲサは決して怖い存在ではない。そのためデンベレがボールを持つと、鎌田は何も気にすることなくフランス代表FWに対応でき、コスティッチと共に挟み込むことができた。サポートのないデンベレは、酷い時には1対3の状況を作られている。ミンゲサがもう少し柔軟ならば、そうはならなかったかもしれない。

 結局、ミンゲサは守備面でも大した働きを見せることはできなかった。このままでは、バルセロナの未来はないだろう。

(文:小澤祐作)


【了】

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