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ポステコグルー監督の采配はすべて裏目。セルティック敗退に感じるいくつもの”たられば”【分析コラム】

text by 舩木渉 photo by Getty Images

対照的だった交代出場選手の活躍

旗手怜央
【写真:Getty Images】



 セルティックはウェルシュのサイドを破られたところから、レンジャーズに決勝点を献上した。フォレストとの連携も拙く、セルティックの右サイドは途端に穴となってしまった。

 逆にレンジャーズは交代出場した選手たちが輝いた。75分から出場したアーフィールドは78分に値千金の同点ゴールを奪い、109分からピッチに立ったサカラも決勝点の場面でゴール前に突っ込んでオウンゴールを誘発。もっと言えば、114分のゴールはMFグレン・カマラ→MFスティーブン・デイヴィス→ケント→バシー→サカラの流れで生まれたが、関わった5人のうち3人は途中出場の選手だった。

 負傷者が続出したとはいえ、交代策が全く機能しなかったのはポステコグルー監督としても想定外だっただろう。

 地元紙『デイリー・レコード』が選手採点でセルティックの交代選手たち全員に「4」以下をつけていることからも、彼らの働きぶりがいかに低調だったかがわかる。古橋とオライリーが「4」、ラルストンとフォレストが「3」、ウェルシュとMFデイヴィッド・ターンブルは「2」と低評価が並んだ。

 ベンチに残っていたフィールドプレーヤーは、DFクリストファー・ジュリアン、MF井手口陽介、MFジェームズ・マッカーシー、FWサム・ジョンストンの4人。いずれもリーグ戦では出場機会のほとんどない選手たちだが、今回のレンジャーズ戦に限ってはもっと使い道があったのでは……と考えてしまう。

 決して好調とは言えないパフォーマンスだったMF旗手怜央を109分まで引っ張る必要があったのか、という議論も出てくるだろう。もっと早いタイミングでターンブルと交代していたら……あるいはロジッチを残して旗手を先にオライリーと代えていれば……などと“たられば”はたくさん出てくる。

 だが、これらは全て結果論に過ぎない。その時の判断を「間違えました」と取り下げられないのがフットボールの常である。この試合に関してはセルティックの判断が裏目に出て、レンジャーズの判断がうまく機能した。

 レンジャーズは3日前のブラガ戦からスタメンをGK1人だけしか変えず、そのうえで交代カードによって選手層の厚さを示した。バログンやスティーブン・デイヴィス、アーフィールドといった途中出場のベテランたちの献身的なパフォーマンスによって、チーム力は120分間最後まで落ちなかった。こうした組織の力強さが、セルティックを上回ったのである。

 セルティック対レンジャーズは今季、あと1試合だけ残っている。優勝決定プレーオフの第2節が、両者の今季最後の対戦だ。

 5月1日に予定されている一戦で再び対峙した時、両チームにどんな変化が見えるか。リーグタイトル獲得を狙う両者にとって絶対に落とせないダービーマッチで、ポステコグルー監督とジオバニ・ファン・ブロンクホルスト監督がどんなプランを練ってくるかも楽しみにしたい。

(文:舩木渉)

【了】

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