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リバプール、相手を無効化させる巧みなコントロールとは? 「誰が試合に出ても強い」を可能にする術【分析コラム】

シリーズ:分析コラム text by 安洋一郎 photo by Getty Images

誰が試合に出ても強い理由



 今節リバプールはモハメド・サラーやファビーニョ、トレント・アレクサンダー=アーノルド、チアゴ・アルカンタラをベンチスタートさせるターンオーバーを敢行していた。

 これだけの主力選手を温存できるのは選手層が“異常”なほどに厚いからだ。彼らの代わりにはナビ・ケイタ、ジェームズ・ミルナー、ディオゴ・ジョタ、ジョー・ゴメスが先発メンバーに名を連ね、ケイタがゴール、ジョタがアシストという形で結果を残した。

 また、ミルナーとゴメスも攻守に効いており、普段ベンチを温めることが多い選手が見事なまでに活躍した。彼らは自分にいつ出番が訪れてもベストなパフォーマンスを発揮できるための準備を常に行っており、ユルゲン・クロップ監督をはじめコーチ陣の高いマネジメント能力がそれを可能としている。

 印象的だったのが試合後のクロップ監督のコメントだ。「(ターンオーバーに関して)選手たちは完璧にこの状況を受け入れている。出番がなかった選手たちの試合終了後の顔を見ればわかるだろう。このグループは特別だ。並外れたタレントたちで、素晴らしいキャラクターを持っている」と、選手たちがチーム全体として戦う姿を賞賛している。

 各々の選手の能力が高く、戦術理解が浸透していることはもちろん、その選手たちと監督・コーチ陣との強固な信頼関係があるからこそ「誰が試合に出ても強い」リバプールが完成されているのだ。
(文:安洋一郎)

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