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冨安健洋、アーセナル加入後初のCBへの評価は? 残念だったアルテタ監督のプラン、トッテナムにやられた理由とは…【分析コラム】

シリーズ:分析コラム text by 安洋一郎 photo by Getty Images

残念だったアルテタ監督のゲームプラン



 ベストメンバーが揃っているアーセナルであればベン・ホワイトが右CB、冨安健洋が右SBで起用されるが、今節よりベンチに復帰したホワイトは万が一を備えて出場せず、冨安は負傷離脱中のキーラン・ティアニーと守備に大きな不安を抱えるヌーノ・タバレスに代わり前節同様に左SBで起用された。

 最終ラインの選手層が極端に薄いアーセナルはこうした“イレギュラー”の事態が起きてしまうと選択肢が限られてしまい、右CBにはロブ・ホールディング、右SBにはセドリック・ソアレスが起用された。

 だが、アーセナルの右サイドと対峙するトッテナムの選手はソン・フンミンだった。直近の15試合で12ゴールを決めているソン・フンミンはまさに“絶好調”であり、今の彼を止めることは困難だ。ホールディングとセドリックの2枚では彼らの特徴的にもソン・フンミンを止めることは難しく、実際にその不安が的中してしまった。

 セドリックは22分に決まったPKを献上。試合後にアルテタ監督はこの判定に対して不満をこぼしていたが、セドリックとソン・フンミンは確かに接触をしており、主審によってはPKの判定になってもおかしくはないプレーだった。

 ホールディングは空中戦の強さを活かしたクロス対応はピカイチだが、スピードのある相手に対する守備はやや苦手としている。この弱点が今節は露呈。26分と33分にソン・フンミンに対してファウルを犯し、2枚のイエローカードを受けて退場処分となった。1枚のイエローカードが提示された時点でホールディングが2枚目のイエローカードを貰うのは時間の問題だったようにも見え、アルテタ監督としては何かしらの修正を加えるべきだったかもしれない。

 結果、ソン・フンミンがいるサイドの守備で脆さが出てしまったアーセナル。アルテタ監督としては自分たちのアグレッシブなスタイルを崩したくなかったのかもしれないが、勝ち点差4と残りの試合数を考えるとこの試合は勝ち点“1”でも御の字だった。結果論になってしまうが、セドリック、冨安、ホールディング、ガブリエウ、タバレスの5枚を最終ラインに並べて守備的に戦っても良かったのかもしれない。

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