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アーセナル、今オフのカギは? 欧州CLに届かず、最終節でも改善しなかった弱点【分析コラム】

シリーズ:分析コラム text by 安洋一郎 photo by Getty Images

失点場面でみえた不安要素




 来季ELを戦うことが確定したアーセナル。今季のウェストハムのように少数精鋭でプレミアリーグとELの両方を戦うことも可能だが、シーズン終盤の過密日程を考えると所々でターンオーバーを講じる必要が出てくるだろう。

 となると21名となっている現在のトップチームのスカッドではあまりにも選手層が薄い。現在ローン移籍している選手の中から即戦力として期待できる選手はウィリアム・サリバとエインズリー・メイトランド=ナイルズの2選手ぐらいだろうか。しかもサリバに関しては、来季のCL出場やカタールワールドカップに向けて出場時間を確保したいということもあり、現在のローン先であるマルセイユ残留を強く希望している。

 こうした背景を考えると既存のメンバーは契約満了の可能性がある一部の選手を除けば残留が既定路線となるだろう。そこで今節を踏まえ、来季以降の戦いに不安に感じたのが、普段はあまり出場機会を得ることができていない控えメンバーたちのプレーの“質“だ。

 特に今節気になったのは失点した場面でのロブ・ホールディングの守備である。ホールディングは試合終盤のリードしている場面などで投入すると、相手のクロス攻撃を得意の空中戦で跳ね返すことができるのだが、スタメンでの起用は不安と言わざるを得ない。

 失点をした場面にフォーカスを当てる。ペナルティエリア内の右のハーフスペースでボールを受けたドミニク・カルバート=ルーウィンが、遅れて対応したガブリエウ・マガリャンイスの股を抜いて、中央へ折り返したという場面で、ホールディングはニアに走りこんできたデマライ・グレイのマークについていた。カルバート=ルーウィンが折り返したボールはピンポイントで合わせるようなスピードではなく、この時のホールディングとボールの距離感的にも予測ができていれば十分にクリア可能かと思われた。

 しかし、結果はクリアできずに失点。右CBがニアに走りこんだ選手の対応をしなければいけないという選手配置の時点で、ニアとファーのどちらにクロスを送られても対応するための準備が必要だろう。だが、この時のホールディングの守備対応はニア一択だった。最悪、触れられなくても折り返しのボールに対して足を出すなどファーのケアもしていたという“事実“が見られればまだ擁護できるのだが、自身の目の前を通過したボールに反応することができておらず、明らかに準備不足だった。

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