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日本代表 2年前

伊藤洋輝が解消しうるサッカー日本代表の構造的欠陥。鎌田大地&原口元気がパラグアイ代表戦で躍動したメカニズムとは?【分析コラム】

シリーズ:分析コラム text by 龍岡歩 photo by Shinya Tanaka

2人のインサイドハーフが持つ対照的な魅力

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【写真:Getty Images】

 この試合の日本代表は左右のFWが幅を取り、CFの浅野が背後を狙う動きで深さを作り続けた事でパラグアイ代表の陣形を横と縦に間延びさせることに成功していた。そして間延びしたパラグアイ代表の守備ブロックの「間」で躍動したのがIH(インサイドハーフ)として起用された当落選上の2人、鎌田と原口である。

 この試合でMVP級の働きを見せた2人だが、そのプレースタイルは実に対照的で面白い。まず原口の持ち味はその豊富な運動量から来るプレーエリアの広さである。前半2分のシーンは象徴的だ。IHの原口が一度SBの位置まで降りてボールを受け、自ら持ち運んだ後にパス。そこから原口は足を止めずに今度はハーフスペースへ潜り込むと、パラグアイのSBが右FWの堂安に食いついた瞬間にインナーラップで背後を取っている。

 このシーンでは惜しくもパラグアイCBのカバーでボールはタッチラインに出されてしまったものの、自陣から敵陣ペナルティエリアまでおよそ60mを動き回りながらボールに絡むプレーは原口らしいといえる。

 そして前半36分の先制点の場面では原口がアシスト役を担った。自陣深くでボールを持った伊藤が前線の浅野へ向けてロングフィードを蹴った瞬間、次のセカンドボールを狙って原口は走り出している。浅野がCBと競り合ってこぼれたボールに誰よりも早く原口が反応出来たのは足を止めなかったからだ。セカンドボールを拾った原口はその勢いのままパラグアイ陣内に侵入すると、CBが対応に出てきた瞬間にスルーパスで浅野のゴールをお膳立てしている。常に足を止めずに動き続ける原口の運動量が生んだゴールだった。

 一方、鎌田のプレースタイルは「動」の原口と比較すると圧倒的に「静」である。動き過ぎない事が鎌田の良さを引き出すのだ。

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