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日本代表 2年前

伊藤洋輝が解消しうるサッカー日本代表の構造的欠陥。鎌田大地&原口元気がパラグアイ代表戦で躍動したメカニズムとは?【分析コラム】

シリーズ:分析コラム text by 龍岡歩 photo by Shinya Tanaka

スペースを操る鎌田大地の動き

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【写真:田中伸弥】

 前半42分の2点目のシーンは鎌田の真骨頂ともいえる。パラグアイ陣内で遠藤がボールを受けると、鎌田はその前方5m程の位置で「止まったまま」足元へパスを要求。攻撃方向に背中を向けて縦パスを受けようとする鎌田には、すかさずパラグアイのSHが寄せてくるが、鎌田はその直前に首を振ってこの動きを確認している。

 そしてパスをワンタッチで遠藤に下げると、そのまま食いついたパラグアイSHの背後にはスペースが生まれる。鎌田は止まっているが、相手が動いている(動かされている)のでいつの間にか鎌田の周囲にはスペースが生まれているという寸法だ。

 そこから日本代表はボールを動かし、再び「間」のスペースで浮遊する鎌田にボールが渡る。パラグアイ代表の3選手を引き付け、ボランチの脇が空く。これを見逃さなかった鎌田がパスを送ると、パラグアイ代表の注意は一気に逆サイドでボールを持つ堂安へと集まった。パラグアイの視界から消えた鎌田自身はそこからジョグでゴール前へと移動し、堂安のクロスにフリーで合わせてゴールを決めている。

 この得点場面における鎌田の動きを追っていくと最初から最後まで左のハーフスペースのレーンをジョグで移動しているに過ぎない。だが、相手が来ればワンタッチでボールを逃がし、来なければターンで前を向いてボールを運ぶ鎌田をパラグアイ代表は終ぞ捕まえる事ができなかった。最後のシュートシーンもジョグで入って来る鎌田をパラグアイは誰も捉えられず、恐らく突如としてゴール前に現れたといった感覚だったのではないか。

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