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強いバルセロナが戻る“予兆”とは? シャビが施す現代風のアレンジとペップ&クライフの面影【分析コラム】

シリーズ:分析コラム text by 本田千尋 photo by Getty Images

“伝説のチーム”に近づいている?



 10分にカウンターを喰らった局面で、あのウスマヌ・デンベレが自陣最後尾まで戻って守備をしたように、ロスト時の攻守の切り替えが徹底されており、試合を通してチームとして連動したプレッシングを実現できていた。

 周知のとおり現代フットボールの守備は、相手がボールを持った時ではなく、自分たちがボールを失った時から始まる(厳密に言えば自分たちが攻撃をしている時から始まってはいる)が、“5秒ルール”に代表されるロスト時の守備の徹底はペップ・バルサの象徴だった。その意味で、デンベレが身体を張って示した献身性はもちろんのこと、チームとして質の高い守備の意識と実現は、シャビ・バルサが“伝説のチーム”に近づいていることを意味する。

 ペップ・バルサが得意とした守備とは、ただボールを奪うだけでなく、その奪ったボールをポゼッションもしくはカウンター、さらには得点に繋げるという一連の過程を含むものだ。

 その観点から振り返ると、24分の先制に至る場面では、まず右サイドからバルデが入れたクロスが敵DFに辛うじてクリアされたものの、そのボールを即座に自分たちのものにして敵陣でポゼッションを実現。そしてペドリの大きなサイドチェンジから、ハフィーニャがファーにクロスを入れ、そこにレヴァンドフスキが飛び込んでゴールを奪っている。まさにペップ・バルサの守備→攻撃を彷彿とさせる一連の流れだ。

 ペドリが決めた2点目も、自分たちの攻撃が失敗した後の敵の自陣からのロングフィードを、アラウホがFWセルジ・グアルディオラと競って奪い、すぐにブスケッツ→右のデンベレと前線に繋げて得点を挙げている。

 これはまさに、ただボールを奪うだけでなく、その奪ったボールをポゼッションもしくはカウンター、さらには得点に繋げるという一連の過程を含む現代サッカーの守備の体現であり、何より“ペップ・バルサの再現”である。

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