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強いバルセロナが戻る“予兆”とは? シャビが施す現代風のアレンジとペップ&クライフの面影【分析コラム】

シリーズ:分析コラム text by 本田千尋 photo by Getty Images

ペップ時代の想起と現代風のアレンジ



 同様に64分のレヴァンドフスキの技ありの3点目も、自陣の右サイドで途中出場のセルジ・ロベルトが奪ったボールを、すぐに前に繋いで、ペドリ→デンベレのドリブル→レヴァンドフスキのシュートと、得点に直結させる一連の流れを実現している。

 もちろん、こうした“ボール奪取→攻撃→得点”という一連の流れをひっくるめた守備という概念は、ラルフ・ラングニックの系列のチームを見ても明らかなように、今では当たり前のものとなっている。そして、どこでボールを奪うのか、どのようにして、どれぐらいの時間で攻撃の過程を実現し、得点に繋げるのかといったポイントが、そのチームの性格を形成する。

 このバジャドリード戦の1~3点目は、ボール奪取から得点までさほど手数と時間をかられていないことを踏まえると、ラングニックのサッカーに近いところもある。シャビの頭の中には、フットボールの究極形として自身も選手としてプレーしたペップ・バルサがあるのだろうが、少し現代風にアレンジしている部分もあるのかもしれない。ボールを奪った後に、敵陣で高いボール・ポゼッションを実現して相手をジワジワ痛めるのではなく、短時間で攻めて得点を取れるときには取ってしまおう、というわけだ。

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