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長谷部誠と鎌田大地、CLでクラブ史上初勝利の立役者に。フランクフルトが取り戻した「成功の秘訣」とは?【欧州CL分析コラム】

シリーズ:分析コラム text by 舩木渉 photo by Getty Images

取り戻した「昔からの成功の秘訣」



 そこでオリバー・グラスナー監督は、マルセイユ戦で昨季までの主戦術だった3-4-2-1に戻すことを決断。これまで2列目の左サイドで起用されていた鎌田はダブルボランチの一角に下がり、人数が増えたセンターバックの中央にDF長谷部誠が先発起用された。

 このシステム変更によって押し込まれた際のディフェンスラインの安定感が増し、かつてのようなカウンターの鋭さも取り戻すことができた。残念ながらオフサイドで無効になってしまったが、鎌田がゴールネットを揺らした場面が最たる例だろう。

 地元紙『フランクフルター・ルンシャウ』も「昔からの成功の秘訣」と3バックへのシステム変更を称賛。4バックになってから出場機会が激減していた長谷部も、3バックの中央に入ることによって真価を発揮した。

 試合後に長谷部はクラブ公式サイトで「38歳になってもCLでプレーできることを誇りに思います。ただ、重要なのは個人のパフォーマンスではなく、チームの勝ち点です。いいプレーを発揮して、自分の役割を果たせたので、それ以上に幸せなことはないです」と勝利の喜びを語っていた。

 そして、3バックへの変更によって鎌田も輝いた。4-2-3-1の際は左サイドから中に入ってくるプレーが多くゴール前にも積極的に顔を出せていたが、やはりスタートポジションがアウトサイドでは持ち味が活きづらい。守備時の負担も大きくなってしまう。縦に突破するためのスピードはなく、相手にプレーを読まれやすいという小さな弱みもあった。

 一方、3-4-2-1に戻したマルセイユ戦ではMFマリオ・ゲッツェとリンドストロムが2列目で起用され、鎌田はMFジブリル・ソウとダブルボランチを組んだ。かねてから「6番でも8番でもプレーできる」と語ってきた日本代表MFは、ボランチでもしっかりと持ち味を発揮した。

 様々なスポーツのデータを扱う『FootMob』を参照すると、鎌田はマルセイユ戦でチーム最高のパス成功率「92%」を記録。フランクフルトのボール支配率が39%と苦しい流れの中でも極めて正確にパスを通していたことがわかる。

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