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結局、アンチェロッティ監督は何が凄いのか。レアルを勝たせる「様々な微調整」【分析コラム】

シリーズ:分析コラム text by 本田千尋 photo by Getty Images

「タフなゲーム」を制した采配



 この場面では、途中出場したアセンシオとバスケスが早速結果を出した。アンチェロッティ監督自身は「アセンシオとヴィニシウスの見事なパスによる信じられない程のカウンターで2点目を決めたとき、それが試合に勝った瞬間だ」と振り返ったが、とりわけバスケスの投入が試合を決めた、とも言えるだろう。

 元々はウインガーのバスケスの投入は、カウンターの威力を鋭くするという点において、実に効果的だった。同点に追い付いたことで息を吹き返し、相手が前掛かりになってきたことを踏まえれば、よりカウンターが活きるシチュエーションだったが、だからこそ、“ウイングタイプのSB”であるバスケスの投入には意味があった。

 言い換えれば、「アセンシオとヴィニシウスの見事なパスによる信じられない程のカウンター」によるフィニッシュの局面は、バスケスの“ウインガーとしての攻撃力”が最も活きる「瞬間」だったということだ。

 こうして指揮官の“采配”で逆転に成功したことで、「エネルギーと自信」が加わったレアルは、さらに81分、アセンシオからパスを受けたバルベルデが超絶ミドルを突き刺して3点目。セビージャを突き放し、バスケスの言う「タフなゲーム」を3-1で制した。

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