フットボールチャンネル

結局、アンチェロッティ監督は何が凄いのか。レアルを勝たせる「様々な微調整」【分析コラム】

シリーズ:分析コラム text by 本田千尋 photo by Getty Images

エネルギーと自信



 翻って後半に入ると、レアルは54分に一瞬の隙を突かれ、ショート・カウンターを喰らって失点してしまう。

 先のクルトワの「2点目を決めておくべきだった」というコメントは、この失点を意識して発したものだろう。カルロ・アンチェロッティ監督は「後半は我々のエネルギーのレベルが落ち、同点に追い付かれた後は自信が揺さぶられた」と振り返ったが、多少は「自信が揺さぶられた」としても、完全に打ち崩されはしないのが、今のレアル・マドリードである。

 イタリア人指揮官が「交代出場した選手たちがチームにエネルギーと自信を加えた」と振り返ったように、同点後の膠着状況を打ち破ったのは、他ならぬアンチェロッティ監督の“采配”だった。

 77分、ルカ・モドリッチ→マルコ・アセンシオ、フェルラン・メンディ→アントニオ・リュディガー、ダニエル・カルバハル→ルーカス・バスケスと3枚替え。

 そして、その直後の79分。レアルはブロックを構築して超絶カウンターを発動する。中盤でロドリゴが奪ったボールを、フェデリコ・バルベルデがダイレクトで落とすと、アセンシオが最前線のヴィニシウスにスルーパス。ブラジル代表FWは、右サイドを猛烈な勢いで駆け上がってきたバスケスに軽く渡すと、このボールを元スペイン代表が確実に押し込んで逆転弾。

1 2 3 4 5

KANZENからのお知らせ

scroll top