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結局、アンチェロッティ監督は何が凄いのか。レアルを勝たせる「様々な微調整」【分析コラム】

シリーズ:分析コラム text by 本田千尋 photo by Getty Images

アンチェロッティ監督は何が凄いのか



 このセビージャ戦で示したように、基本布陣の[4-3-3]を維持しながら、システム変更せずに選手交代で攻撃に変化を加えることができるのは、アンチェロッティ監督の手腕が成せるところだが、それは同時に現レアル・マドリードの強みとも言えるだろう。

 SBをバスケスにすることでカウンター時の威力を増すだけでなく、中盤ではアンカーをクロースにすることでポゼッションに幅を加えるなど、イタリア人指揮官は様々な微調整を試みてチームに変化を加えている。

 もちろん現在のレアルのサッカーは、元々ジネディーヌ・ジダン政権時に築かれたベースを活かしたものであって、現アンチェロッティ監督の全くのオリジナルというわけではない。だが、最高級の素材で出来上がった最高級の料理のクオリティを維持しながら、微調整を試みることで変化を加えることは、決して簡単ではないだろう。それは魑魅魍魎が蠢く欧州サッカー界を長年渡り歩き、酸いも甘いも知るイタリア人監督ならではの“采配”と言えるのではないか。

 そういった意味では、現在のレアル・マドリードに「エネルギーと自信」を注入しているのは、他ならぬアンチェロッティ監督なのである。

(文:本田千尋)

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