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これがシャビ・バルセロナの限界なのか。バイエルン戦で露呈した死活問題【欧州CL分析コラム】

シリーズ:分析コラム text by 本田千尋 photo by Getty Images

バルセロナが抱える死活問題



 インサイドに配置されたケシエだったが、パスワークに貢献できず、ポゼッションに加わることができていなかった。もちろんバイエルン戦ではそもそもチームが機能不全に陥っていたし、ミランからやってきた屈強なコートジボワール代表は、そもそもペドリやガビとはタイプが違う。しかし、それならば、高い位置で奪ってショートカウンターを仕掛けようとチームとして守備をした方が、ケシエのフィジカルが活きてくるかに思われるが、やはりそういった守備戦術は見られなかった。

 こうしたペドリとケシエだけでなく、そもそもチーム全体の機能性が損なわれていた。レヴァンドフスキは意地を見せるかのように左サイドから右サイドへと広く動いたが、ボールを受けた後が繋がっていかない。選手同士の距離感も不安定でボールポゼッションが安定しないため、被カウンター時の守備、つまりカウンタープレスも全くと言っていいほど機能しない。

 バルサは10分と31分、バイエルンにカウンターを喰らって本当にあっけなく失点してしまう。

 このカウンタープレスが機能するかしないかは、ポゼッション型を志向するチームにとっては死活問題だ。そもそもボールを失った時に、即座に奪い返せるからこそ、ポゼッションは安定する。細かいパスワークを安定させることができる。逆に言えば、選手同士の距離感が適切で、ショートパスを主体とするパスワークが安定していれば、その途中でボールを失ったとしても、即座にチームとして奪い返しに行けるのである。

 そのバルサの“細かいパスワーク”は、かつてペップ・グアルディオラがチームを率いていたときに“ティキ・タカ”と形容されたが、他ならぬペップはその呼称を嫌った。

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