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ピケの最後とバルセロナの美学。弱点を知られ尽くしたシャビ・バルサの未来【分析コラム】

シリーズ:分析コラム text by 本田千尋 photo by Getty Images

ピケのラストマッチで貫いた美学



 特に“バルサのサッカー”を貫いて勝利したことは、ピケのラストマッチに添える至高の華だったかもしれない。

 この試合で、アルメニアに対してもバルサは、いつものような“バルサのサッカー”でボール・ポゼッションを高め、敵陣で左右に相手を揺さぶって圧倒した。敵陣に押し込むがゆえに、なかなか相手の守備が固い中央から崩していくことはできず、また、28分にカウンターから決定機を作られた。敵に後方の広大なスペースを与えるなど、弱点を持ってはいるものの、この試合ではプレッシングとカウンター・プレスが有効に機能していた。

 まさにペップ・グアルディオラが築き上げ、ピケが中心選手となった“バルサのサッカー”でアルメニアを粉砕したのだ。

 もちろん相手が格下のアルメニアだからこそ、比較的余裕を持ってサッカーを展開し、ピケのラストに花を添えることができた、という側面はある。しかし、そうではあっても、ピケ自身がこれまで誰よりも光り輝くことが出来たサッカーで、カンプ・ノウでの最後の試合を光り輝いて終えることができたことは、他ならぬ本人にとって最高のラストマッチになったに違いない。

 サッカー選手も1人の人間。自分が究極のDFとなる階段を駆け上がることになったスタイルで最後を迎えたことは、万感の思いだったことだろう。

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