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フランス代表は“新時代”へ。進化したエムバペが核、今後の強化ポイントとは?【W杯コラム後編】

text by 小川由紀子 photo by Getty Images

今後強化すべきポイントは?



 そしてもう一つ、この大会から得た課題として論点となっているのが、「PK強化」について。2006年のドイツ大会でも、PK戦の末に決勝でイタリアに敗れ、より最近では昨年のEURO2020で、スイス代表にPK戦で敗れてラウンド16で敗退した。

 そのスイス代表戦では5人目のキッカーだったエムバペが外してジ・エンドとなったが、彼は今回、トップバッターとして成功。しかし『レキップ』紙によれば、外した2人、キングスレー・コマンはPKの経験がなく、チュアメニは1度蹴ったことがあるが不成功。延長戦を終えた時点で残っていた選手たちの多くは、まったく経験がなかった。

 ストップする側も、ロリスはキャリアで受けた124本のPKのうち、止めたのは17本と、決して得意とはしていない。にもかかわらず、ロリスは相手の分析データよりも「その場のフィーリング」で跳んでいるという。トレーニング方法の見直しと同時に、ショットストップを得意としているACミランのマイク・メニャンへの守護神交代もこの機に進みそうだ。

 そのロリスは、今大会も主将として静かな落ち着きでチームを率いたあと、「この大会は、フランス代表の未来につながる」と毅然と語った。

 そして新たにエースに君臨したエムバペは、ひとこと『Nous reviendrons』(俺たちはまた戻ってくる)とSNSに綴った。

 なんだかターミネーターみたいだが、この男もターミネーターのごとく、さらにパワーアップして戻ってくることだろう。彼を中心とした、新世代のレ・ブルーを率いて。

(文:小川由紀子【フランス】)


【了】

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