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フランス代表は“新時代”へ。進化したエムバペが核、今後の強化ポイントとは?【W杯コラム後編】

text by 小川由紀子 photo by Getty Images

FIFAワールドカップカタール2022 最新ニュース

FIFAワールドカップカタール2022で、フランス代表は準優勝という成績を収めた。本大会前の状態は決して良くなく、主力に負傷者が続出するというアクシデントにも見舞われたが、なぜ前回王者はここまでの強さを発揮できたのだろうか。今大会のフランス代表を総括する。今回は後編。(文:小川由紀子【フランス】)


エムバペは「非の打ち所がない」


【写真:Getty Images】

 ディディエ・デシャン監督に続くもう一人のMVPは、この大会で、「快男児」から「怪物」へと進化したキリアン・エムバペだ。コンコルド広場でも、一番大きく響いていたのは、「キリアン!」コールだった。

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 19歳で出場した前回大会でも4得点と、すでに怪物っぷりは発揮していたが、これまでエースの称号を背負ってきたアントワーヌ・グリーズマンは、エムバペについて大会中にこんなコメントをしている。

「彼は選手としても、人としても、2018年のときとは違う。もっとみんなに混ざるようになったし、彼は僕たちにとって本当に重要な存在だ。すべてにおいて、キリアンは非の打ち所がない」。

 フランス国内でのエムバペに対する評価は手厳しく、ラウンド16のポーランド代表戦で2点をあげたときもなお、現地メディアは「得点はしたが、試合中に消えていた時間も多く、試合を通してチームプレーに貢献できていない」と、彼の「一発屋」的な働きを指摘していた。

 しかしその後のイングランド代表戦とモロッコ代表戦では、自分が点を取りに行くよりも、攻撃チャンスを作り出すことを意識したプレーが目立ち、そして、是が非でも点が必要だった決勝戦では、ハットトリック+PKの4得点で、自らが点取り屋になってみせた。

 ここで彼の評価は決定的となった。

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