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フランス代表はなぜ強かった? バラバラだったチームが準優勝に輝いた理由【W杯コラム前編】

text by 小川由紀子 photo by Getty Images

FIFAワールドカップカタール2022 最新ニュース

FIFAワールドカップカタール2022で、フランス代表は準優勝という成績を収めた。本大会前の状態は決して良くなく、主力に負傷者が続出するというアクシデントにも見舞われたが、なぜ前回王者はここまでの強さを発揮できたのだろうか。今大会のフランス代表を総括する。今回は前編。(文:小川由紀子【フランス】)


『ありがとう、レ・ブルー!』


【写真:Getty Images】

 世界中を興奮させたルサイル・スタジアムでのアルゼンチン代表との激闘の末、準優勝のメダルを受け取ったフランス代表の面々は、翌日、パリのコンコルド広場に面したホテル・クリヨンのバルコニーに立っていた。

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 パリ市警の発表によると、寒空の下、集まったのはおよそ5万人。中にはほんの15分かそこらのために、何時間もかけて南仏モンペリエから来た強者もいた。

 当初は優勝した場合に限り、シャンゼリゼ通りをオープンカーでパレードすることになっていたが、フランス代表からの「応援してくれたみなさんに感謝の挨拶がしたい」という意思を尊重して、広場でのグリーティングのみ行うと、スポーツ大臣が決勝戦後に発表したのだった。

 ディディエ・デシャン監督を筆頭に、主将のウーゴ・ロリスも、大会得点王キリアン・エムバペも、表情はどこか沈んでいたが、大観衆の声援に、ようやくうっすら笑顔を見せた。

『伝説の決勝戦』
『ありがとう、レ・ブルー!』
『心のチャンピオン』
『これまでで最も美しい大会』
『素晴らしい軌跡』…等々、決勝翌朝のメディアには賛辞の嵐。

 ソーシャルメディアにも、「この状況でよくやった」「ときには、傲慢な勝利より名誉の敗戦のほうが美しい」「負けることでまた成長できる」といった前向きな声が目立つ。

 決勝戦では、敗色が濃かった80分から、約90秒で2点ビハインドから同点に追いつき、延長戦でもリオネル・メッシに勝ち越し点を奪われながら、ふたたび挽回した。68分までは1本もシュートを打たせてもらえなかったことなど人々の記憶からかき消すくらい、終盤の展開はスリリングだった。

 それに今回のフランス代表は、デシャン監督も決勝戦のあと「このチームが、大会前、そして最中にも多くの困難に遭いながら、それを乗り越えて素晴らしい成果に限りなく近づくことができたことは決して忘れてはならない」と語ったように、初めから終わりまでトラブル続きだったから、その状況の中で戦った彼らの姿は、2連覇を逃した悔しさよりも、PKで惜敗した奮闘を讃える気持ちを呼び起こしたのだった。

 それにしても、まあよくもここまで、というくらい色々あった。

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