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なぜマンUに逆転負け? 欧州で勝てないバルセロナは「成長している」のか?【EL分析コラム】

シリーズ:分析コラム text by 小澤祐作 photo by Getty Images

バルセロナを苦しめた敵将の修正力



 ハーフタイム後、1点ビハインドのユナイテッドがさっそく動いてきた。なかなか機能していなかったヴォウト・ベグホルストを下げ、アントニーを投入。左サイドのマーカス・ラッシュフォードを1トップに移し、2列目を左からジェイドン・サンチョ、B・フェルナンデス、アントニーの並びに変えてきた。

 すると後半開始からわずか2分、バルセロナは痛恨の失点。B・フェルナンデスのパスを受けたフレッジにゴールネットを揺らされた。

 これで流れは完全にユナイテッドに傾いた。前半は奪ってからの縦に速い攻撃がハマっていなかったが、ラッシュフォードが中央に移り、右にも左に顔を出せるようになったこと。また、両サイドにスピードと技術に長けたサンチョとアントニーの本職アタッカーが入ったことで、得意のスピーディーな攻めを繰り出せるようになった。

 バルセロナは、勢いを取り戻したユナイテッドを前に慌ててしまい、らしくないパスミスやロストを連発。事実、前半は82%だったパス成功率が後半は79%にまで落ちていて、さらにロスト数も前半の70回から76回に増えているというデータも出ている(データサイト『Sofa Score』を参照)。それゆえに奪われ、繋がれ、1本のパスで決定機を作られるというパターンを繰り返してしまった。ユナイテッドの土俵で戦っていたというわけだ。

 そのバルセロナは73分、途中出場のアントニーに逆転弾を献上。これもキッカケは1本のロングパスで、“ついに”といった感じだった。

 1-2とされた後、シャビ・エルナンデス監督はアンス・ファティやマルコス・アロンソを投入して流れを取り戻そうとするも、ユナイテッドの集中した守備を崩せず、ELから姿を消すことになった。インテンシティーが下がることを想定し、選手配置を変えてシンプルな背後へのロングボール攻撃を狙いやすいようにしたエリック・テン・ハグ監督の采配が一枚上手だった。

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