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日本代表 1年前

今、駒野友一が改めて分析する「あのPK」。「僕は運ではないと思ってはいますが」【後編】

text by 高橋大地 photo by Getty Images

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2010年に行われた南アフリカワールドカップ・ラウンド16のパラグアイ代表戦でサッカー日本代表DF駒野友一が外してしまったPKのシーンを、今も鮮明に思いだせるというサッカーファンは多くいるのではないか。「PK戦」を特集した『フットボール批評issue39』では駒野本人に当時を振り返ってもらい、フットボールチャンネルでその一部を抜粋して公開する。(取材・文:高橋大地)


PKは運か実力か


【写真:Getty Images】

――カタールW杯では、アルゼンチン代表のGKエミリアーノ・マルティネスの駆け引きなどが話題になりましたが、駒野さんとしてはああいった駆け引きはそこまで気にならない?

「そうですね。お互い駆け引きはしますけど、僕は蹴る瞬間に(GKが)どう反応するかのほうが気になります」

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――2010年のパラグアイ代表もそうですし、カタールW杯でのアルゼンチン代表もPKで勝ち上がり、こと南米のチームはPK巧者のイメージがあるのですが、駒野さんは何か差のようなものは感じていますか。

「明確な差があるというよりも、結果としてPKになっても苦にせず勝ち上がっている印象はあります。あとはやはり駆け引きの部分では、うまいなと感じることがあります」

――日本がPK戦で負けると「PKは運だ! 派」と、いやいや技術とかメンタル面は重要なので「PKは実力! 派」で二元論的な議論になるのですが、駒野さんはどうお考えですか?

「駆け引きのうまさであったり技術力であったりさまざまな要素があると思います。キッカーとして自分が思い描いているコースに蹴れたとしても、GKが反応して止めてしまえばGKの勝ちですし、決めればキッカーの勝ち。個人的には運ではないのかな、と思います。が、運と言われれば運とも言えるし……。僕は運ではないと思ってはいますが」

――難しいですね。

「基本的にはお互いの技術の高さの勝負だと思っています」

――改めて振り返ってみて「なぜあのPKはバーに弾かれてしまったのか」を今、分析できることはありますか。

「コースを狙いすぎてしまったのはあります」

――「普段であればそれが決まっていたのに」という思いはありますか?

「普段は決めていたから、と捉えてはいけないのかな、と。勝負の世界では、決めるか外すかなので。いつも蹴っているから決められるわけでもなく、あの場面では結果としてああいう状況になってしまったということだと思います」

――トップ・オブ・トップの世界でも、自分の描いているものと結果でギャップが出てしまうというのは、やはりPKは非常に難しいものだと感じます。

「そこで勝てば今も超えられていないベスト16以上の成績を残していたというのもそうですし、次は(優勝した)スペインと対戦できる予定だったので、対戦してみたかったという気持ちもありますが、何よりも両チーム合わせて『自分一人だけが決められなかった……』という気持ちのほうが強いですね」

<続きは『フットボール批評issue39』で>

【前編はこちら】13年後の今、駒野友一が振り返る「あのPK」。PKのコツ「それ、僕に求めますか(笑)」

<雑誌概要>

『フットボール批評issue39』

定価:1,760円(本体1,600円+税)

特集:眠れないほど罪深い「PK戦」の話
10年間ご愛読ありがとうございました

まずはじめに言っておきたいのは、「PK戦」は面白いものではない。ペナルティー=罰という名称からして、そこかしこにネガティブな要素が散乱している。いい例として、観ている側は「アイツ、決めそうだな」とは言わずに「アイツ、外しそうだな」と言う。サッカー好きでなくとも戦犯を血祭りに上げられる残酷なシステムが面白いわけがないのだ。
 それゆえ、特集企画のほとんどはネガティブなアプローチから生まれたような気がしている。冒頭のPK戦廃止論から始まり、脳のストレス、ルールのグレーゾーン……。そう、特集名どおり、まさに罪深い企画のオンパレードである。しつこいようだが、最終号となる本誌を読了したとて「PK戦」が面白くなることはない、と断言しておく。


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【了】

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