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久保建英を封じたモウリーニョの戦略とは? 危険な日本人を抑えたキーマン【EL分析コラム】

シリーズ:分析コラム text by 小澤祐作 photo by Getty Images

久保建英へのローマの対応


【写真:Getty Images】



 2トップの一角で先発した久保は、前半にポスト直撃のシュートを放っている。ただ、目立ったのはそのシーンくらいで、普段通りの持ち味を発揮できていたとは言い難かった。

 もちろんチームが機能不全に陥っていたことも理由だが、そもそもローマの久保への対応は厳しかった。左CB(先発ディエゴ・ジョレンテ、途中からマラシュ・クンブラ)とマッチアップすることが多かったが、基本的には常に2人以上にみられている状態だった。

 その左CBのサポートに入っていたのが、他でもないマティッチだ。味方が縦を切れば、自身は中を切って久保のプレー選択肢を狭める。常に高い集中力を保ち、役割を全うしていた。

 印象的だったのが50分のシーン。ソシエダが自陣でボールを奪いカウンターに移ると、久保にパスが渡る。その久保は華麗なタッチで前に出てきたクンブラをかわしたが、マティッチが背後からタックルしてボールをカット。ノーファウルで自分たちのボールにしたのである。

 この日のローマは、久保とシルバに対してとくに強いプレッシャーをかけており、ファウルをしてでも止めるという気持ちが感じられた。モウリーニョ監督が今のソシエダで何が、そして誰が危険なのか分析し、しっかりと準備してきたのだろう。すべてにおいてローマが上手だった。

(文:小澤祐作)

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