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久保建英を封じたモウリーニョの戦略とは? 危険な日本人を抑えたキーマン【EL分析コラム】

シリーズ:分析コラム text by 小澤祐作 photo by Getty Images

レアル・ソシエダをとくに苦しめたのは?



 とくにソシエダが苦労したのは、ローマの中盤を攻略することだった。

 4-3-1-2のソシエダに対し、ローマはタミー・エイブラハムとパウロ・ディバラを相手センターバックに、そしてロレンツォ・ペッレグリーニをアンカーのマルティン・スビメンディに付け、後ろに5枚を並べる守備陣形をとっている。そのため最終ライン前にはネマニャ・マティッチとブライアン・クリスタンテの2枚が残る形であり、その脇や間には確かなスペースがあった。

 それに対しソシエダは、シルバが低めにポジショニングすることでマティッチとクリスタンテを前に数的優位を作り、何度かそこにパスを差し込んで攻撃の糸口を探っていた。しかし、人数で上回っているのにもかかわらず、うまく攻略することができずに終わったのである。

 その理由は、単にマティッチとクリスタンテのパフォーマンスが極めて高かったからだ。彼らは確かに数的優位を作られたが、それぞれが2人分以上の働きを披露しており、かわされても素早いリカバリーでソシエダの侵入を食い止めている。マティッチはインターセプト数(3回)とタックル成功率(100%)で、クリスタンテはタックル数(5回)でチームトップに立っていた。

 仮にボールを奪えなくても、ボールを外に逃げさせたり、遅らせたりと細かい部分で貢献。そこにペッレグリーニの力強いプレスバックやCBの果敢な飛び出しがあることで、ソシエダの攻撃を完璧に封じ込んでいた。

 そしてマティッチは、ソシエダの危険人物である久保への対応でも素晴らしい働きをみせている。

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