異例の「半年契約」
自らの未来をJリーガーになることと定め、日本の移籍マーケットの時期を考え、現所属クラブに半年の契約を主張することは、Jクラブとの契約どころか練習参加の予定もない中で、よほどの自信がない限りできないことだと考える。実際に筆者は練習参加をした際にもすぐにチームと契約を結ばず、およそ半年かけてアビスパ福岡に入団した。
その決断力と行動力、粘り強さは、まさに「生きる力」そのものである。
また今回、筆者の言葉で最も衝撃を受けたのは、「チームはそもそもあなたに興味ない」という言葉である。
この言葉は筆者がヨーロッパ挑戦に挑む際の言葉であるが、私自身2022年の1月にドイツでトライアウトを受けたことがあり、本書にあるような状況を経験した。私は10日間で2チームの練習に参加し、どちらとも契約には至らず帰国した。
「チームはそもそもあなたに興味ない。」
この言葉を知っていれば、全く違う状況になっていたのではないかと悔いが残る。
コロナ禍で各国のリーグが財政的に苦しむ中、極東からやってきた実績のない日本人に誰が注目するのか。それでも向かうのであれば、その状況をひっくり返すだけのものを示さなければならなかったが、全くもって足りていなかった。
また外国での生活はピッチ内だけでなく、ピッチ外でも様々な困難がある。