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マンチェスター・ユナイテッドが三笘薫を封じた方法。徹底対策を打ち破るには?【分析コラム】

シリーズ:分析コラム text by 安洋一郎 photo by Getty Images

対策を打ち破る可能性をみせたプレー



 徹底的な対策にあったことで枠内シュート0本、ラストパス0本の結果に終わった三笘だが、全てのプレーを封じられたわけではない。彼らをかいくぐる可能性を見せたのが30分のシーンだ。

 左サイドで三笘は足元でボールを受けると見せかけた次の瞬間に背後へと抜け出した。この動きにペルビス・エストゥピニャンが見事なフライスルーパスで応え、ボックス内への進入に成功。GKとDFの間へグラウンダーのクロスを折り返した。しかし、この裏への抜け出しがあまりにも上手すぎたのか、味方選手も騙される結果となり、ダニー・ウェルベックらのアクションも遅れてしまった。

 このプレーこそ“三笘対策”を破るための方法である。三笘はワン=ビサカの視野に入っているところから一度ボールホルダーのエストゥピニャンに近づく“ワンフェイク”を見せた。この一瞬の動きでイングランド人DFの逆を突くことが可能となり、背後を取ることが可能となった。

 対人戦に強い2選手を当てる三笘対策を打ち破るには、こうしたオフザボールの質で相手の逆を突くことが最善の策になるだろう。日本代表FWは優れたドリブラーであることはもちろん、
オフザボールにも優れている。今季の成長ぶりを象徴する場面だった。

 FAカップではマンチェスター・ユナイテッドが勝利したが、両者は日本時間5月5日にプレミアリーグでの対戦が残されている。近いうちに訪れるリベンジの機会に、三笘はどのようにして徹底対策を打ち破るのだろうか。

(文:安洋一郎)

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