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圧倒的ではないが、アーセナルが“強いチーム”と言える理由。接戦を制した要因は【分析コラム】

シリーズ:分析コラム text by 安洋一郎 photo by Getty Images

アーセナルがエバートン守備陣をなかなか崩せなかった理由



 今節を振り返る前に、まずは今のエバートンの状況を整理しよう。

 エバートンは4試合を消化した前節終了時点で、1分3敗とクラブワーストの開幕スタートとなっている。苦しんでいる最大の要因は得点力不足だ。シェフィールド・ユナイテッドとの前節で、今季47本目のシュートが初めて得点に結びつくほど、敵陣ゴール前で精彩を欠いている。

 一方の守備は、マイケル・キーンが2失点に関与した2節のアストン・ヴィラ戦以外は1失点が2試合、2失点が1試合とそれなりに機能をしている。ショーン・ダイシ体制が2季目となり、彼のチームの真骨頂である身体を張ったシュートブロックの場面が増え、大ポカを連発してベンチに降格したキーンに代わってスタメンに抜擢されているジャラッド・ブランスウェイトも安定したディフェンスをみせている。

 話を今節に戻すと、アーセナルはこのセットされたエバートン守備陣を崩すことに苦戦を強いられた。ダイシのチームは、自陣に撤退するとWGも最終ラインに吸収されて6バックで守るため、ライン間のスペースが少なく、仮にシュートを放てたとしても守備の柱であるジェームズ・ターコウスキらのブロックにあった。結果的にエバートンはこの試合だけで、6つのシュートブロックを記録している。

 また新加入のデクラン・ライスがボールを受けたいがために低い位置まで下がることが多く、その結果マルティン・ウーデゴールも低い位置でプレーする場面が増えて、右WGのブカヨ・サカが孤立をするという場面も見られた。

 開幕から保持からの崩しがあまり機能をしていないアーセナルとしては、相手の守備がセットされる前に攻め切りたかった。実際に19分にガブリエウ・マルティネッリがショートカウンターからネットを揺らしたが、これはオフサイド判定となりノーゴールに。またこのプレーでマルティネッリが負傷をしたことで、よりアーセナルはエバートン相手に攻めあぐねる結果となり、前半はわずか3本のシュートに留まった。

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