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海外サッカー 7か月前

沈黙の前半から一変。三笘薫はなぜ躍動したのか?ブライトンが目を覚ました理由【EL分析コラム】

シリーズ:分析コラム text by 小澤祐作 photo by Getty Images

三笘薫が後半に躍動した理由は?



 後半開始早々の54分、ブライトンは一瞬の隙を突いて1点を返す。左サイドでタリク・ランプティが粘り、三笘にパスを出すと、三笘がボックス内でフリーになっていたパスカル・グロスにクロス。これをドイツ代表MFがダイレクトで押し込んだ。

 その後ブライトンは、前半とは一転してマルセイユを押し込んだ。60分から試合終了までの約30分間だけで前半を上回る8本のシュートを放ち、88分にはジョアン・ペドロのPKで同点に追いつくことに成功している。まさに目を覚ましたといったところか。

 三笘がもたらした1点目が精神的に大きかったのは間違いないが、ブライトンが勢いを取り戻した大きな理由はむしろ相手のマルセイユにある。試合後の会見でガットゥーゾ監督は、引き分けは途中出場の選手のせいではないとしつつ、「90分間走り続けなければならないんだ。交代前まで(62分までに3人交代)は違う走り方をし、違うプレスをかけていた。変更後の自分たちがやったことは準備したことではなく、少し自分たちを見失った」と強度不足を指摘していた。

 交代の選手たちがうまく試合に入れなかったことはもちろん、前半からかなり飛ばしていたマルセイユのスタメン組は明らかに後半、ガス欠しており、それも組織のバランスが崩れた理由となった。だからこそ、ブライトンは前半よりも余裕を持った状態でボールを動かすことができた。

 そうなれば、プレミアリーグでもトップクラスの攻撃力が火を吹くのは必然。とくに左サイドの三笘はフランスの名門にとって脅威となった。73分にはウェルベックの落としを受けたグロスからの長いボールが三笘に渡り、そのままボックス内に侵入して左足で強烈なシュートを放つ。78分にはらしさ全開の深い切り返しからボックス内深くをとり、最後はシモン・アディングラの決定機を演出した。

 ブライトンは勝利こそ奪えなかったが、前半の停滞、それもアウェイゲームということを考えれば、この勝ち点1は勝ち点3に近い価値があると言えるだろう。なにより、連敗スタートを避けることができたのは大きい。

(文:小澤祐作)

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