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日本代表 7か月前

浅野拓磨を輝かせた「そうじゃない時」の貢献。サッカー日本代表で見せた新たな一面【コラム】

シリーズ:コラム text by 元川悦子

「冷静だった」細部にこだわるスピードスター



 そのうえで、2、3点目にも絡んでみせた。40分の2点目は左サイドに開いた浅野に田中碧からパスが渡り、背番号18がゴール前に折り返した。ニアに走りこんだ南野には届かなかったが、対応し損なったDFデレク・コーネリアスに当たってオウンゴールとなった。

 さらに2分後の3点目は、浅野の献身的な守備とボール奪取によってもたらされたもの。彼のラストパスを受けた中村敬斗が飛び込んできたDFの逆を突き、余裕を持って右足で決めきった。

「あれは2度追いした結果。ボールを取れるとは思わなかったですけど、全力で追うことによってああいうことが生まれる。ホントはシュートまで行きたかったですけど、自分の足がついてこなかった(苦笑)。その状況でも1回止まって味方の動きを見ることができたのは、自分自身、冷静だったかなと。今までは無理して(シュートしに)いってしまったり、止まれずにボールを失うことも多かったけど、味方を見ることができたのはよかったと思います」と本人も前向きにコメント。細かい部分にもこだわりながら取り組むことで、貴重な得点をお膳立てできたという。

 前半を3-0で折り返した日本代表は、多少、落ち着きを取り戻した。そして、後半開始早々に田中碧がチーム4点目を奪ったことでより一層、余裕を持って戦うことができた。

 浅野は古橋と交代するまでの72分間ピッチに立ち続けたが、ハードワークや守備も怠ることなく継続。体のキレや鋭さも大いに感じさせた。

 そのあたりはさすがボーフムで今季リーグ全7試合にスタメン出場している選手。チームは例年通り、下位に位置し、彼自身も9月2日のアウクスブルク戦の2ゴールのみにとどまっているが、強度の高いドイツ・ブンデスリーガで世界トップ級のDF陣と毎回対峙している経験値というのは侮れない。

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