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冨安健洋が解決した今季のアーセナルの課題。完全スタメン奪取は近いのか【CL分析コラム】

シリーズ:分析コラム text by 安洋一郎 photo by Getty Images

冨安健洋がライスの“動きすぎ問題“を解決



 先述した『Football London』では、「RCランス戦以来となる先発出場で、日本代表DFは印象的なプレーをみせた。守備は相変わらず堅固で、いつもとは違う前への脅威を加えた」と寸評されている。

 このコメント通り、この試合での冨安は攻撃面での貢献度が高かった。特に素晴らしかったのが、左インサイドハーフで先発出場していたデクラン・ライスとの“バランス“だ。

 今夏にクラブ史上最高額で加入したイングランド代表MFは、本来のボックス・トゥ・ボックスのプレースタイル的にも上下に動きたがる癖がある。この試合でも最終ラインの一角、アンカーのジョルジーニョの脇、左シャドーと、さまざまな位置でボ-ルを受けようとしていた。

 冨安はこのライスの上下の動きに対して、彼が空けたスペースに上手く入ってポジションのバランスをとった。イングランド代表MFが高い位置にいる時はアンカーのジョルジーニョの近くでボールを受けてビルドアップの出口となり、逆に同選手が下がると前線でもプレーした。

 この冨安の“気が利く”プレーによって、ジンチェンコとライスの併用で生まれる最終ラインと前線の分断は起きなかった。彼ら2人は互いに自由に動きたがるため、ポジション被りが頻発していたが、周りの状況を見て最適なポジションをとれる日本代表DFを左SBに起用したことで、動きすぎるライスのプレーがビルドアップの妨げとはならなかった。

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