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確実に近づくハフェルツ覚醒の瞬間。アーセナルに必要な「数字に残らない功績」【分析コラム】

シリーズ:分析コラム text by 竹内快 photo by Getty Images

ウーデゴールより優れる能力



 動き出しの上手さは、この試合では出番のなかった司令塔マルティン・ウーデゴールと比較して遜色ないどころか、ハフェルツのほうが優れている。もう少し積極的にボールを要求する必要があるかもしれないが、アタッキングサードでのポジショニングは素晴らしく、ハフェルツにボールさえ入れば…と思うようなシーンが何度もあった。狭いエリアでもボールをキープできる技術は十分すぎるほどあるため、より高い位置でボールを触る機会が増えていけばおのずとゴール数は増えていくだろう。

 ハフェルツはがむしゃらに走り続け、ベストを尽くしている。他選手には無い高さやリーチがあり、相手との競り合いに負けず、ロングボールのターゲットマンとしてヘディングで味方にボールを落とす場面も見られた。またボールをロストした際の切り替えも早く、献身的なプレスバックでシェフィールドにチャンスを作らせない。随所で見せた球際の激しさは、同選手の強い覚悟を感じさせる。チームの勝利のために、自分に求められたことをしっかりと遂行していた。

 試合終盤に訪れたビッグチャンスは5-0と圧倒的なリードをしている状況の中で、最後まで諦めずゴールを狙い続けたからこそ生まれたチャンスだ。この試合では“数字に残らない”味方を活かすプレーや泥臭いプレーができることを示した。結果がすべての世界であるため、目に見える結果を残せなければ批判を受けることもある。しかし辛抱強くこの姿勢を貫けば、決定的な場面で“数字に残る活躍”がきっとできるはずだ。ゆっくりと、でも確実にカイ・ハフェルツ覚醒の時は近づいている。

(文:竹内快)

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