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なぜ冨安健洋は前半で下げられたのか? アーセナルの制度設計と助教授のタスク【CL分析コラム】

シリーズ:分析コラム text by 加藤健一 photo by Getty Images

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 UEFAチャンピオンズリーグ(欧州CL)グループステージ第4節、アーセナル対セビージャが現地時間8日に行われ、2-0でアーセナルが勝利した。サッカー日本代表DF冨安健洋は前半でベンチに退いたが、機転の利いたプレーを随所に見せ、前線と最終ラインを有機的につなげていた。(文:加藤健一)


セビージャ戦完勝と冨安健洋の機転

セビージャ戦に先発したアーセナルDF冨安健洋
【写真:Getty Images】

 内容的にはアーセナルの完勝と言っていいだろう。3点目、4点目を取るチャンスはあったが、アーセナルが決勝トーナメントに進むために、得失点差は重要ではなかった。勝ち点3という結果だけでも十分で、64分にリードを2点に広げてからは、うまく試合をコントロールしながら時計の針を進めていた。

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 冨安健洋は5日のニューカッスル戦に続いて左サイドバックで先発起用された。アーセナルが最終ラインでボールを保持すると、アンカーのジョルジーニョの隣で配球役になりつつ、インサイドハーフのデクラン・ライスが中盤に降りてきた際は、入れ替わるようにして8番(インサイドハーフ)ポジションを取る。左ウイングのガブリエウ・マルティネッリが絞るのを見るや否や、タッチライン際まで開いて相手のディフェンスラインを横に引き伸ばしている。

 もはやお馴染みになりつつある冨安のマルチロールぶりは、この日もアーセナルの潤滑油となっていた。抜群の配球力を誇るプロフェッサーレ(イタリア語で「教授」)を支える助教授として、縦横無尽に動いて相手の守備を崩すライスが空けたスペースを埋める黒子として、そして、味方がボールを失った際に相手から自由を奪うディフェンダーとして、突出したスタッツを残したわけではないが、随所に気の利いたプレーを見せて味方を助けていた。

 にもかかわらず、冨安はハーフタイムに交代を告げられた。替えられた理由を浮き彫りにするためには、いくつもの背景を考慮しなければいけない。

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