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日本代表 6か月前

上田綺世の「図抜けた才」とは? 「積み重ねた4年間」とサッカー日本代表で見せる成長【コラム】

シリーズ:コラム text by 元川悦子 photo by Getty Images,Shinya Tanaka

サッカー日本代表のエースへ



「個の力で違いを作る」という仕事を確実に遂行した上田はさらにゴールを重ねる。前半終了間際のクイックリスタートから堂安のスルーパスに反応して相手の背後に抜け出し右足を振り抜いた2点目。南野のラストパスに合わせてDF2枚の間に侵入して右足アウトに瞬間的に持ち替えて決めた50分の3点目と、多彩な得点パターンは見る者を大いに魅了した。日本は最終的に5-0で勝利したが、上田の得点能力の高さが光ったゲームだったのは紛れもない事実である。

「格下のミャンマー戦でハットトリックをしたところで頭抜けた点取り屋になれるわけではない」といったネガティブな意見も聞こえてくるかもしれないが、公式戦のハットトリックはやはり意味が違う。2019年のコパ・アメリカ(南米選手権)、同年のEAFF E-1サッカー選手権、2022年のカタールW杯・コスタリカ代表戦と何度か重圧のかかる舞台に立ちながら、ゴールという仕事のできなかった上田にしてみれば、大きな一歩に他ならないだろう。

 代表50ゴールの岡崎慎司や25ゴールの大迫勇也ら先輩FWたちもアジアの格下相手に固め取りし、通算得点数を引き上げた。上田の所属先のライバル、サンティアゴ・ヒメネスも今季は格下相手に凄まじいゴールラッシュを示し、存在感を一気に高めている。FWにとってゴールという結果がどれだけ重要かというのは、上田自身が痛感しているはずだ。

 この日のハットトリックで彼も代表通算5得点と数字を伸ばし、日本の得点源に名乗りを挙げた。まだまだ先人たちのレベルには遠く及ばないが、確固たるFWの出現を待ち望んでいる森保監督にとっても朗報と言えそうだ。

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