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【遠藤航・分析コラム】明らかだったクロップからの信頼。遠藤の成長で近づくリバプールの完成形とは?

シリーズ:分析コラム text by 小澤祐作 photo by Getty Images

遠藤航の余裕を感じさせたプレーは?



 シェフィールドは前からガンガンプレスをかけるよりも、しっかりと陣形を保ち、スペースを埋めながら相手の攻撃を迎えた。そのためリバプールがボールを保持しながら試合を進めることはさほど難しくなく、実際にボール支配率は23.9%:76.1%と大きな差が出ている。

 その中で遠藤もよくボールに触れ、ビルドアップに貢献した。

 加入当初の遠藤はパスが来るたびに慌てていた印象が否めず、受けて散らす作業を1回こなすだけで精一杯だったが、ある程度の試合数を重ねた現在は落ち着きを見せている。もちろんシェフィールドの守備が構える形だったことも慌てずに済んだ理由の1つだろう。相手の寄せに遭う前にダイレクトではたいたり、一度タメてから味方につけたり、浮き球のパスを前線に差し込んだりと、余裕のあるプレーが自然とパスの多彩なバリエーションに生かされていた。

 チアゴ・アルカンタラのような芸術性のあるパスはなかったものの、バランスが求められるアンカーということを考えれば、シンプルなパスを淡々と繋ぐだけでも十分だった。むしろ、攻撃的なパスを狙いすぎてカットされる方が、ハイラインを敷くリバプールにとって致命的だ。

 また、この日際立ったのが空中戦の強さだ。勝利数5回は同14回と圧巻のスタッツを記録したイブラヒマ・コナテに次ぐチーム2位の成績。持ち前の強さを発揮して最終ラインを助けた。

 UEFAヨーロッパリーグ(EL)でタスクをこなし、プレミアリーグで途中出場ながら結果を残し、今節はフル出場。遠藤は着々とチーム内での序列を高めていると言っていいだろう。同選手がこのまま波に乗っていけば、リバプールはより完成形に近づくかもしれない。

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