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【遠藤航・分析コラム】見抜かれた弱点とは? 致命的なミス、前半のみで交代。狙われたアンカーの隙

シリーズ:分析コラム text by 安洋一郎 photo by Getty Images

遠藤航が前半のみで交代となった理由


 苦しんだ要因は、クリスタル・パレスMFウィル・ヒューズが遠藤の監視役となり、タイトなマンマーク戦術を行っていたことにある。

 ヒューズはリバプールの最終ラインがボールを持った際に遠藤のすぐ後ろにポジションを取っており、パスが入った瞬間に激しく寄せて“前を向かせないための”タイトな守備を実行していた。

 仮にマック・アリスターがアンカーで先発出場していればこのマンマーク戦術は行わなかっただろう。このアルゼンチン代表MFは食いついてきた相手の逆を突く動きが上手く、個人スキルでプレッシャーを回避できる。

 一方の遠藤はマック・アリスターと比較をするとプレス回避能力が劣る。ボールを受けた瞬間にダイレクト、もしくはワンタッチで味方選手にスムーズな展開ができればビルドアップの逃げどころとなるのだが、“いつ”“誰に”パスを出すかという「判断力」がこの試合では鈍かった。

 その代表例があわやPKを献上しかけた29分でのボールロストだ。CBのジャレル・クアンサからのパスを遠藤は後ろ向きで受けたが、その直後に背後からヒューズが激しくチャージ。結果的にはここの接触がOFR(オン・フィールド・レビュー)の末にファウルとなったが、遠藤のロストからショートカウンターを食らって、一度はPKの判定が下された。

 この場面で遠藤は致命的な判断ミスを犯している。パスを出した瞬間、すぐにクアンサはジェスチャーでダイレクトに繋ぐように指示。しかし、日本代表MFは一度コントロールしてから展開しようとしており、余計なワンタッチが増えたことで、相手に寄せられる時間を与えてしまった。

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