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【遠藤航・分析コラム】「完璧に近い出来」だった要因は? リバプールに安定感をもたらす遠藤の意識

シリーズ:分析コラム text by 安洋一郎 photo by Getty Images

遠藤航の保持でのプレーが安定していた理由



 [4-3-3]のアンカーのポジションに入った遠藤からすると、[4-4-2]で構えるバーンリーはプレーしやすい相手だった。というのも、盤面での嚙み合わせ的に、日本代表MFは相手のツートップとボランチの間にあるスペースにポジションをとることができたためである。

 特に前半、バーンリーのツートップは遠藤へのパスコースを消しながらリバプールのCBにプレスをかけたが、何となく寄せるだけで強度が低かった。それは遠藤にパスが入ったときも同じで、ツートップで挟んでいたケースでも彼に対してチャージをかけることはなかった。

 ボランチも前線の動きに合わせて連動して前に出てくることもなかったため、遠藤はかなり緩いプレッシャーの中でプレーすることができていた。それを代表するシーンが自らシュートを放った40分の場面だろう。

 最終ラインに降りたトレント・アレクサンダー=アーノルドから、相手のツートップとボランチの間でパスを受けた遠藤はすぐにターンしてモハメド・サラーにパスを出した。この時に相手のボランチの選手は遠藤にパスが渡ってから距離を詰めはじめている。これだけ自由な時間があれば、日本代表MFも余裕を持ってプレーすることができ、正確な判断とパスで味方に繋ぐことができた。

 82分にも同じような場面があった。遠藤にボールが出た後にバーンリーの選手は誰も寄せることができず、ノープレッシャーの中で前方にいたドミニク・ソボスライへとパスが通ってシュートに繋がった。

 遠藤のアイデアや基本技術の高さがこれらのチャンスを演出したことは間違いないが、相手の曖昧な守備が彼の保持でのプレーを助けた側面もあった。87分には横パスを奪われて大ピンチを迎えるなど、まだ完璧とは言えないが、以前よりは落ち着いてプレーできていることは間違いないだろう。

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